クラウド電話は、PBX機能をクラウドに移し、拠点や端末はネットワークで接続します。ハード故障のリスクや保守負担が低減されます。
たとえ話:自家発電からコンセントへ
オンプレPBXは「自家発電機を家に置く」ようなものです。自分で燃料を買い、メンテナンスし、壊れたら修理します。クラウド電話は「コンセントから電気を使う」感覚。電力会社(クラウド事業者)が発電・送電・保守をしてくれるので、使う側はプラグを差すだけで電気が来ます。
オンプレPBXとは
社内にPBX機器を設置し、内線・外線・着信分配などを自社設備で制御する方式です。設備更新や保守、障害対応を自社で担うため、運用負荷や故障リスクが課題になりやすいです。
硫黄がオンプレPBXに与える影響:
温泉地など硫黄成分がある環境では、硫化ガスが金属表面と反応して接点が劣化しやすくなります。腐食が進むと接触抵抗が増え、通話の不安定化や故障の原因になります。基板も腐食や絶縁劣化が起こりやすいため、密閉筐体や空調、定期点検などの対策が重要です。
PBXとは
PBX(Private Branch Exchange)は企業内の内線交換機です。内線同士の通話、外線との発着信、転送や保留などの基本機能をまとめて制御します。
クラウドとは
インターネット経由でサーバーやソフトウェアを利用する仕組みです。設備を自社で持たずに必要な機能を利用でき、更新や保守はサービス側が担います。
コントロールプレーン
ユーザー認証、内線番号の管理、着信ルール(IVR・スキルルーティング等)をクラウド上で集中管理する領域です。音声データとは分離されており、SIPなどの信号プロトコルで制御します。
コントロールプレーンとは
通話の開始・終了、着信先の決定、権限判定など「通話を制御する情報」を扱う領域です。音声データとは分離され、SIPなどの信号で制御します。
IVR(自動音声応答)とは
音声ガイダンスで用件を振り分ける仕組みです。番号入力や選択肢に応じて担当部署へ転送し、代表番号の一次受付を自動化します。
IVRの詳しい役割
IVRはInteractive Voice Responseの略です。営業時間案内、よくある用件の自動振り分け、担当部署への転送などを自動化します。待ち時間短縮や一次対応の効率化に効果があります。
着信分配とは
着信を複数の担当者に自動で振り分ける仕組みです。順番(ラウンドロビン)、同時呼び出し、空き優先などのルールで応答率を高めます。
着信分配の仕組み
キューに着信を一時的に保持し、空き状況や優先度に応じて担当者へ配信します。応答がない場合は次の担当へ回すなど、ルールに沿って自動処理します。
スキルルーティングとは
問い合わせ内容や担当者のスキルに応じて最適な窓口へ接続する方式です。IVRの選択肢や履歴情報と連携し、解決率を向上させます。
メディアプレーン
実際の音声データはRTP(Real-time Transport Protocol)で伝送されます。SBCやメディアサーバーが音声の品質管理、録音、ガイダンス再生などを担い、コントロールプレーンとは独立して動作します。
IP(Internet Protocol)とは
ネットワーク上でデータを宛先へ届けるための基本規約です。音声や信号もIPでパケット化して送るため、電話とネットワークが統合されます。
VoIPとは
音声をIPネットワーク上でやり取りする技術です。従来の電話回線より柔軟に拠点や端末を統合でき、クラウド電話の基盤になります。
VoIPの仕組み(詳説)
音声はコーデックで圧縮され、IPパケットとして送信されます。SIPが通話の開始・終了を制御し、RTPで音声が流れます。遅延や損失が品質に直結するため、QoSや帯域確保が重要です。
RTP(Real-time Transport Protocol)とは
音声や映像をリアルタイムに運ぶための通信方式です。音声データを小さなパケットに分け、遅延や揺らぎを抑えながら配信します。
SIP/RTP通信とは
SIPはSession Initiation Protocolの略です。通話の開始・終了などの制御を行い、RTPが音声データを運びます。制御と音声を分離することで、品質と運用性を両立します。
RTPの仕組み(詳説)
音声はコーデックで圧縮され、一定間隔でRTPパケット化されます。各パケットにはシーケンス番号とタイムスタンプが入り、受信側は順序の入れ替えや欠損を検知し、ジッタバッファで到着のばらつきを吸収します。統計はRTCPで共有され、遅延や損失に応じて品質を監視・調整します。
RTCPとは
RTPの品質情報を共有する制御プロトコルです。遅延やパケット損失などの統計を送受信し、通話品質の監視や調整に活用されます。
シーケンス番号とは
RTPパケットに連番を付けることで、到着順の入れ替えや欠損を検知します。欠損があれば補正や再生制御に利用されます。
欠損時の補正と再生制御
連番の欠落を検知すると、受信側は無音挿入や前後の音声を補完する処理を行います。ジッタバッファと再生タイミングを調整し、音声の乱れを最小限に抑えます。
タイムスタンプとは
音声データの再生タイミングを示す情報です。受信側はタイムスタンプを基準に再生順と間隔を調整し、自然な音声に整えます。
タイムスタンプの付与方法
送信側は音声サンプルの時間位置に基づいてタイムスタンプを付けます。コーデックのサンプル数に応じて一定間隔で増加させ、受信側はその差分で再生タイミングを決定します。
ジッタバッファとは
到着時間がばらつくパケットを一時的にためて、一定の間隔で再生する仕組みです。揺らぎを吸収し、音声の乱れを抑えます。
コーデックとは
音声を圧縮・復元する方式です。帯域と音質のバランスを決め、通話品質や同時通話数に影響します。
圧縮・復元の仕組み
送信側で音声を一定間隔に分割し、コーデックで周波数成分や予測情報を使ってデータ量を削減します。受信側は同じ方式で復元し、音声として再生します。
SBC(Session Border Controller)とは
外部回線と社内・クラウドの境界でSIP/音声通信を制御します。セキュリティ強化、NAT越え、品質制御、障害時の切替に関わります。
メディアサーバーとは
音声のミキシング、ガイダンス再生、録音、保留音などを処理します。IVRや通話録音の基盤として動作します。
PSTN連携
SIPトランクやゲートウェイを経由して、従来の公衆電話網(PSTN)と接続します。これにより、クラウド電話から固定電話や携帯電話への発着信が可能になり、外部との通話を維持できます。
SIPトランクとは
SIPを使って外部回線と接続する方式です。従来の回線をIP化し、クラウドPBXから外線発着信を行います。
ゲートウェイとは
IPと従来回線(アナログ/ISDN)を変換する装置です。既存の回線や電話機器を活かしながら移行できます。
アナログ回線とは
音声を電気信号としてそのまま伝送する従来の電話回線です。シンプルで広く普及しており、古い機器やFAXで使われることがあります。
ISDNとは
ISDNはIntegrated Services Digital Networkの略です。音声とデータをデジタルで伝送する回線で、複数チャネルを同時利用でき、過去のPBXや業務用電話で広く使われていました。
ISDNの仕組み(詳説)
音声・データをデジタル信号にして交換機経由で伝送します。回線はチャネルに分割され、複数の通話を同時に扱える構成が特徴です。
ISDNの歴史(概要)
1990年代に企業向け回線として普及し、複数チャネルによる同時通話やデータ通信を支えました。のちにIP化が進み、SIPやクラウドへ移行が進みました。
PSTN(公衆交換電話網)とは
固定電話や携帯電話がつながる従来の電話網です。クラウド電話はPSTNと接続することで、外部への発着信や代表番号の運用を継続できます。