有理数と無理数
有理数とは
有理数(rational number)の定義
有理数とは、2つの整数の比(分数)として表すことができる数のことです。
有理数 = { a/b | a, b は整数、b ≠ 0 }
ここで、a を分子(numerator)、b を分母(denominator)と呼びます。
「2つの整数の比」とは?
「2つの整数の比」とは、2つの整数を分数の形で表したものです。
比(ratio)の意味:
「比」とは、2つの量の関係を表す方法です。
数学では、比は分数の形で表されます。
例:
• 整数 3 と整数 5 の比 → 3/5 または 3:5
• 整数 1 と整数 2 の比 → 1/2 または 1:2
• 整数 7 と整数 3 の比 → 7/3 または 7:3
重要なポイント:
1. 両方とも整数である必要がある
• 3/5 → 3 と 5 は整数 ✓
• √2/3 → √2 は整数ではない ✗
• 1.5/2 → 1.5 は整数ではない ✗
2. 分母は 0 であってはならない
• 3/0 は定義されない(0 で割ることはできない)
• したがって、b ≠ 0 という条件が必要
3. 分数として計算できる
• 3/5 = 0.6(有限小数)
• 1/3 = 0.333...(循環小数)
• 7/3 = 2.333...(循環小数)
「比」と「分数」の関係:
• 比 3:5 は分数 3/5 と同じ意味
• 比 1:2 は分数 1/2 と同じ意味
• 有理数の定義では「比」と「分数」は同じ意味で使われます
具体例で理解する
例1:整数の比として表せる数(有理数)
• 1/2:整数 1 と整数 2 の比 → 有理数 ✓
• 3/4:整数 3 と整数 4 の比 → 有理数 ✓
• 5/1:整数 5 と整数 1 の比 → 有理数 ✓(これは整数 5 と同じ)
• -2/3:整数 -2 と整数 3 の比 → 有理数 ✓(負の数も含む)
• 0/1:整数 0 と整数 1 の比 → 有理数 ✓(0 も有理数)
例2:整数の比として表せない数(無理数)
• √2:整数の比として表せない → 無理数
• π:整数の比として表せない → 無理数
• e:整数の比として表せない → 無理数
• √2/√3:分子と分母が整数ではない → 無理数
例3:見た目は複雑でも、整数の比として表せる場合
• √4/√4 = 4/4 = 1/1 → 有理数 ✓
• (√2)²/2 = 2/2 = 1/1 → 有理数 ✓
• √(1/4) = 1/2 → 有理数 ✓
a/b(a, b は整数、b ≠ 0)が有理数であることの証明
有理数の定義から、a/b(a, b は整数、b ≠ 0)の形で表せる数は、定義により有理数です。
証明:
有理数の定義は「2つの整数の比として表せる数」です。
a/b は、整数 a と整数 b(b ≠ 0)の比として表されています。
したがって、a/b は有理数です。✓
注意: a と b が互いに素である必要はありません。
例えば、4/6 も有理数ですが、これは 2/3 と約分できます。
しかし、約分前の形 4/6 も有理数の定義を満たしています。
よくある質問:互いに素の形の分数は約分はできないのですか?
答え:はい、互いに素な形の分数は約分できません。これが「互いに素」の意味です。
互いに素な分数の定義:
分数 a/b が互いに素な形(既約分数)であるとは、
分子 a と分母 b が互いに素(gcd(a, b) = 1)であることを意味します。
約分とは:
約分とは、分子と分母を共通の約数で割ることです。
例えば、4/6 を約分すると:4/6 = (4÷2)/(6÷2) = 2/3
ここで、2 は 4 と 6 の共通の約数(最大公約数)です。
互いに素な分数は約分できない理由:
互いに素な分数 a/b では、gcd(a, b) = 1 です。
つまり、a と b の最大公約数は 1 です。
約分するには、1 より大きい共通の約数が必要ですが、
互いに素な分数には、1 より大きい共通の約数が存在しません。
したがって、互いに素な分数は約分できません。✓
具体例:
• 2/3:gcd(2, 3) = 1 → 互いに素 → 約分できない ✓
• 1/2:gcd(1, 2) = 1 → 互いに素 → 約分できない ✓
• 3/5:gcd(3, 5) = 1 → 互いに素 → 約分できない ✓
• 7/11:gcd(7, 11) = 1 → 互いに素 → 約分できない ✓
約分できる分数との比較:
• 4/6:gcd(4, 6) = 2 → 互いに素ではない → 約分できる(4/6 = 2/3)
• 8/12:gcd(8, 12) = 4 → 互いに素ではない → 約分できる(8/12 = 2/3)
• 15/20:gcd(15, 20) = 5 → 互いに素ではない → 約分できる(15/20 = 3/4)
重要なポイント:
1. 互いに素な分数 = 既約分数:これ以上約分できない分数
2. 約分できない = 互いに素:約分できない分数は、分子と分母が互いに素
3. すべての有理数は、互いに素な形に約分できる:
任意の有理数 a/b は、最大公約数で約分することで、互いに素な形にできます
4. 互いに素な形は一意:同じ有理数を互いに素な形で表す方法は唯一です
例:約分の過程
12/18 を互いに素な形に約分する:
• gcd(12, 18) = 6
• 12/18 = (12÷6)/(18÷6) = 2/3
• gcd(2, 3) = 1 → 互いに素な形 ✓
• これ以上約分できない
結論:
互いに素な形の分数は、定義により約分できません。
これが「互いに素」という言葉の意味です。
逆に、約分できる分数は、互いに素ではありません。
有理数の例
- 整数: 3 = 3/1、-5 = -5/1 → すべて有理数
- 分数: 1/2、3/4、-2/5 → すべて有理数
- 有限小数: 0.5 = 1/2、0.75 = 3/4 → すべて有理数
- 循環小数: 0.333... = 1/3、0.142857142857... = 1/7 → すべて有理数
よくある質問:1/3 は有理数ですか?
答え:はい、1/3 は有理数です。
理由1:定義による
有理数の定義は「2つの整数の比として表せる数」です。
1/3 は、整数 1 と整数 3 の比として表されています。
したがって、1/3 は有理数です。✓
理由2:小数表現による
1/3 を小数で表すと:1/3 = 0.333333...
これは循環小数(同じ数字「3」が無限に繰り返される)です。
循環小数は有理数の特徴の一つです。
したがって、1/3 は有理数です。✓
理由3:互いに素な整数による表現
1 と 3 は互いに素な整数です(gcd(1, 3) = 1)。
1/3 = 1/3(既に互いに素な整数の比)
したがって、1/3 は有理数です。✓
1/3 が有理数であることの証明
証明:
有理数の定義により、a/b(a, b は整数、b ≠ 0)の形で表せる数は有理数です。
1/3 は、a = 1、b = 3 とおくと、1/3 = a/b の形で表せます。
ここで、1 と 3 は整数であり、3 ≠ 0 です。
したがって、1/3 は有理数です。✓
補足:
1/3 は有限小数ではありませんが、循環小数として表せます。
有限小数でないからといって無理数ではありません。
有理数には、有限小数と循環小数の両方が含まれます。
よくある質問:互いに素な整数の分数は無限小数にならないのですか?
答え:いいえ、互いに素な整数の分数でも無限小数(循環小数)になることがあります。
重要なポイント:
互いに素な整数の分数(有理数)は、有限小数になる場合と循環小数になる場合の両方があります。
有限小数になる場合:
分母の素因数が 2 と 5 のみの場合、有限小数になります。
• 1/2 = 0.5(有限小数)← 1 と 2 は互いに素
• 3/4 = 0.75(有限小数)← 3 と 4 は互いに素
• 1/5 = 0.2(有限小数)← 1 と 5 は互いに素
• 7/8 = 0.875(有限小数)← 7 と 8 は互いに素
• 3/20 = 0.15(有限小数)← 3 と 20 は互いに素
循環小数になる場合:
分母に 2 と 5 以外の素因数がある場合、循環小数になります。
• 1/3 = 0.333...(循環小数)← 1 と 3 は互いに素
• 1/7 = 0.142857142857...(循環小数)← 1 と 7 は互いに素
• 2/3 = 0.666...(循環小数)← 2 と 3 は互いに素
• 5/6 = 0.8333...(循環小数)← 5 と 6 は互いに素
• 1/11 = 0.090909...(循環小数)← 1 と 11 は互いに素
判定方法:
互いに素な分数 a/b を既約分数として表したとき:
• 分母 b の素因数が 2 と 5 のみ → 有限小数
• 分母 b に 2 と 5 以外の素因数がある → 循環小数
例:
• 1/2:分母 2 = 2¹(2 のみ)→ 有限小数 ✓
• 3/4:分母 4 = 2²(2 のみ)→ 有限小数 ✓
• 1/5:分母 5 = 5¹(5 のみ)→ 有限小数 ✓
• 3/20:分母 20 = 2² × 5¹(2 と 5 のみ)→ 有限小数 ✓
• 1/3:分母 3 = 3¹(3 がある)→ 循環小数 ✓
• 1/7:分母 7 = 7¹(7 がある)→ 循環小数 ✓
• 5/6:分母 6 = 2 × 3(3 がある)→ 循環小数 ✓
重要な注意:
• 互いに素かどうかは、有限小数か循環小数かを決める要因ではありません
• 有限小数か循環小数かは、分母の素因数によって決まります
• 互いに素な分数でも、分母に 2 と 5 以外の素因数があれば循環小数になります
• すべての有理数(互いに素な分数)は、有限小数または循環小数のどちらかです
• 非循環無限小数になるのは無理数だけです
互いに素な整数による表現
任意の有理数は、互いに素な整数の比として表すことができます:
定理: 任意の有理数 r は、r = a/b(a, b は互いに素な整数、b > 0)の形で一意に表すことができる。
証明のアイデア:
有理数 r = c/d(c, d は整数、d ≠ 0)とします。
c と d の最大公約数を g = gcd(c, d) とすると、
c = ga'、d = gb'(a', b' は互いに素な整数)と表せます。
したがって、r = c/d = (ga')/(gb') = a'/b'
ここで、a' と b' は互いに素です。
必要に応じて、b' が負の場合は a' と b' の符号を変えることで、b' > 0 とできます。
例:
• 4/6 = 2/3(gcd(4, 6) = 2 で約分)
• 15/20 = 3/4(gcd(15, 20) = 5 で約分)
• -8/12 = -2/3(gcd(8, 12) = 4 で約分、分母を正に)
有理数と無理数の違い
無理数(irrational number)の定義
無理数とは、有理数でない実数のことです。つまり、2つの整数の比(分数)として表すことができない実数です。
無理数 = { 実数 } - { 有理数 }
つまり、a/b(a, b は整数、b ≠ 0)の形で表せない実数
よくある質問:分数で表せないものが無理数ですか?
答え:ほぼ正しいですが、正確には「2つの整数の比として表せない実数が無理数」です。
正確な表現:
「分数で表せない」という表現は少し曖昧です。
正確には「2つの整数の比として表せない実数」が無理数です。
重要な注意点:
1. 実数である必要がある
• 無理数は実数の一部です
• 虚数(例:√(-1) = i)は実数ではないので、無理数ではありません
• 複素数も実数ではないので、無理数ではありません
2. 「分数」の意味
• ここで言う「分数」は「2つの整数の比」を意味します
• 例えば、√2/√3 は分数の形ですが、分子と分母が整数ではないので、これは無理数です
• 無理数かどうかは「整数/整数」の形で表せるかどうかで判断します
3. すべての実数は有理数か無理数のどちらか
• 実数は必ず有理数か無理数のどちらかに分類されます
• どちらでもない実数は存在しません
無理数の判定方法
ある数が無理数かどうかを判定するには:
ステップ1:実数かどうか確認
まず、その数が実数であることを確認します。
虚数や複素数は無理数ではありません。
ステップ2:整数の比として表せるか確認
その数が a/b(a, b は整数、b ≠ 0)の形で表せるかどうかを確認します。
• 表せる → 有理数
• 表せない → 無理数
例:
• √2:実数である。整数の比として表せない → 無理数 ✓
• π:実数である。整数の比として表せない → 無理数 ✓
• 1/3:実数である。整数の比として表せる(1/3 = 1/3) → 有理数 ✓
• i(虚数単位):実数ではない → 無理数ではない(実数でない)
• √2/√3:実数である。しかし、整数の比として表せない → 無理数 ✓
よくある誤解
誤解1:「分数の形でないものは無理数」
❌ 間違い:整数 5 は分数の形ではありませんが、有理数です(5 = 5/1)
✓ 正しい:整数の比として表せない実数が無理数
誤解2:「無限小数は無理数」
❌ 間違い:0.333... は無限小数ですが、有理数です(1/3)
✓ 正しい:非循環無限小数が無理数
誤解3:「根号(√)がついているものは無理数」
❌ 間違い:√4 = 2 は有理数です
❌ 間違い:√(1/4) = 1/2 は有理数です
✓ 正しい:完全平方数でない正の整数の平方根は無理数(例:√2, √3, √5)
誤解4:「分数の形なら有理数」
❌ 間違い:√2/√3 は分数の形ですが、無理数です
✓ 正しい:整数/整数 の形で表せる実数が有理数
よくある質問:√2/√2 は有理数ですか?
答え:はい、√2/√2 は有理数です。
理由:計算すると 1 になる
√2/√2 = 1
1 は有理数です(1 = 1/1 として表せる)。
したがって、√2/√2 は有理数です。✓
重要なポイント:
• √2/√2 は分数の形をしていますが、計算すると 1 という整数になります
• 同じ数で割ると 1 になるのは、数学の基本的な性質です
• 見た目が無理数の形でも、計算結果が整数や有理数になることがあります
類似の例:
• √3/√3 = 1(有理数)
• √5/√5 = 1(有理数)
• (√2)² = 2(有理数)
• (√3)² = 3(有理数)
• √4 = 2(有理数、完全平方数)
• √(1/4) = 1/2(有理数)
注意:
一方で、√2/√3 = √(2/3) は無理数です。
これは整数の比として表すことができません。
よくある質問:無理数の二乗は、有理数ですか?
答え:必ずしもそうではありません。無理数の二乗が有理数になる場合と、無理数のままの場合の両方があります。
無理数の二乗が有理数になる場合:
• (√2)² = 2 → 有理数 ✓
• (√3)² = 3 → 有理数 ✓
• (√5)² = 5 → 有理数 ✓
• (√7)² = 7 → 有理数 ✓
• 一般に、(√n)² = n(n は正の整数)→ 有理数 ✓
無理数の二乗が無理数のままの場合:
• π² → 無理数(π は無理数なので、π² も無理数)
• e² → 無理数(e は無理数なので、e² も無理数)
• (√2 + √3)² = 2 + 2√6 + 3 = 5 + 2√6 → 無理数
• (√2 × √3)² = (√6)² = 6 → 有理数(これは例外)
重要なポイント:
1. 平方根の二乗:√n(n は完全平方数でない正の整数)の二乗は有理数になります
2. 超越数の二乗:π や e のような超越数の二乗は無理数のままです
3. 無理数の和の二乗:無理数同士の和の二乗は、一般に無理数のままです
4. 無理数の積の二乗:無理数同士の積の二乗は、有理数になる場合があります
証明のアイデア:
(√2)² = 2 が有理数であることは明らかです。
一方、π² が無理数であることは、π が超越数であることから証明されます。
(超越数は、有理数係数の代数方程式の解にならない数です)
有理数と無理数の主な違い
| 特徴 |
有理数 |
無理数 |
| 定義 |
2つの整数の比として表せる |
2つの整数の比として表せない |
| 表現 |
a/b(a, b は整数、b ≠ 0) |
a/b の形では表せない |
| 小数表現 |
有限小数または循環小数 |
非循環無限小数 |
| 例 |
1/2, 3/4, 0.5, 0.333..., 整数 |
√2, √3, π, e, log₂(3) |
| 個数 |
可算無限個 |
非可算無限個 |
小数表現による見分け方
有理数と無理数は、小数表現を見ることで区別できます:
有理数の小数表現:
• 有限小数: 0.5、0.75、1.25 など(有限桁で終わる)
• 循環小数: 0.333...、0.142857142857...、0.1666... など(同じパターンが繰り返される)
無理数の小数表現:
• 非循環無限小数: 1.41421356...(√2)、3.14159265...(π)、2.71828182...(e)など(繰り返しパターンがない無限小数)
具体例で理解する
有理数の例:
• 1/2 = 0.5(有限小数)
• 1/3 = 0.333...(循環小数、周期1)
• 1/7 = 0.142857142857...(循環小数、周期6)
• 22/7 = 3.142857142857...(π の近似値だが、有理数)
• 整数 5 = 5.0(有限小数)
無理数の例:
• √2 = 1.4142135623730950...(非循環無限小数)
• √3 = 1.7320508075688772...(非循環無限小数)
• π = 3.1415926535897932...(非循環無限小数)
• e = 2.7182818284590452...(非循環無限小数)
• log₂(3) = 1.5849625007211561...(非循環無限小数)
重要な性質
- 実数の分類: すべての実数は、有理数か無理数のどちらか一方に分類されます。
- 密度: 有理数も無理数も、実数直線上に稠密(ちゅうみつ)に分布しています。任意の2つの実数の間には、無限に多くの有理数と無理数が存在します。
- 個数: 有理数は可算無限個ですが、無理数は非可算無限個です。つまり、無理数の方が「はるかに多い」です。
- 演算:
- 有理数 + 有理数 = 有理数
- 有理数 × 有理数 = 有理数
- 有理数 + 無理数 = 無理数(有理数 ≠ 0 の場合)
- 有理数 × 無理数 = 無理数(有理数 ≠ 0 の場合)
有理数と無理数の演算例
有理数同士の演算:
• 1/2 + 1/3 = 5/6(有理数)
• 2/3 × 3/4 = 1/2(有理数)
有理数と無理数の演算:
• 1 + √2 = 1 + √2(無理数)
• 3 × π = 3π(無理数)
• 0 + √2 = √2(無理数、0 は有理数だが結果は無理数)
• 0 × √2 = 0(有理数、0 を掛けると有理数になる)
無理数同士の演算:
• √2 + √3(一般には無理数だが、証明が必要)
• √2 × √3 = √6(無理数)
• √2 + (-√2) = 0(有理数、相殺される場合がある)
注意: 無理数同士の和や積が必ずしも無理数になるとは限りません。例えば、√2 + (-√2) = 0 は有理数です。また、√2 × √2 = 2 も有理数です。
集合の記号:∪(和集合)
∪ 記号の読み方と意味
∪ は和集合(union)を表す記号です。
読み方: 「ユニオン」または「和集合」
英語: union(ユニオン)
意味: 2つの集合の要素をすべて合わせた集合
∪ 記号の使い方
集合 A と集合 B の和集合を A ∪ B と表します:
A ∪ B = { x | x ∈ A または x ∈ B }
つまり、A の要素または B の要素(または両方)であるすべての要素の集合です。
具体例
例1:基本的な和集合
A = {1, 2, 3}、B = {3, 4, 5} とすると、
A ∪ B = {1, 2, 3, 4, 5}
(両方に含まれる 3 は1回だけ書きます)
例2:実数 = 有理数 ∪ 無理数
{ 実数 } = { 有理数 } ∪ { 無理数 }
これは「実数は、有理数または無理数のどちらか(または両方)である」ことを意味します。
実際には、有理数と無理数は互いに排他的なので、実数は有理数か無理数のどちらか一方です。
例3:整数と分数
{ 有理数 } = { 整数 } ∪ { 分数 }
有理数は、整数または分数(または両方)です。
実際には、整数は分数の形(例:3 = 3/1)でも表せるので、整数も分数の一種と考えることができます。
関連する集合の記号
| 記号 |
読み方 |
意味 |
例 |
| ∪ |
ユニオン、和集合 |
2つの集合の要素をすべて合わせる |
A ∪ B |
| ∩ |
インターセクション、共通部分 |
2つの集合の共通の要素 |
A ∩ B |
| ∈ |
属する、要素である |
要素が集合に含まれる |
3 ∈ {1, 2, 3} |
| ⊂ |
部分集合 |
集合が別の集合に含まれる |
{1, 2} ⊂ {1, 2, 3} |
| ∅ |
空集合 |
要素が1つもない集合 |
∅ = {} |
∪ と ∩ の違い
例:A = {1, 2, 3}、B = {3, 4, 5} のとき
和集合(∪):
A ∪ B = {1, 2, 3, 4, 5}
「A または B の要素」をすべて集める
共通部分(∩):
A ∩ B = {3}
「A と B の両方に含まれる要素」だけを集める
視覚的な理解:
A ∪ B:A と B を合わせた全体
A ∩ B:A と B が重なっている部分
和集合の詳しい説明
和集合(union)について、より詳しく説明します。
和集合の定義(再確認):
集合 A と集合 B の和集合 A ∪ B は、
A の要素または B の要素(または両方)であるすべての要素の集合です。
数学的な表現:
A ∪ B = { x | x ∈ A または x ∈ B }
ここで、「または」は論理和(OR)を意味します。
つまり、x が A に属するか、B に属するか、または両方に属する場合、x は A ∪ B に属します。
重要な性質:
1. 重複は1回だけ:A と B の両方に含まれる要素は、A ∪ B に1回だけ含まれます
2. 順序は関係ない:A ∪ B = B ∪ A(交換法則)
3. 結合的:(A ∪ B) ∪ C = A ∪ (B ∪ C)(結合法則)
4. 空集合との和集合:A ∪ ∅ = A
5. 自分自身との和集合:A ∪ A = A
ベン図による視覚化:
和集合 A ∪ B は、2つの円(A と B)を合わせた領域として表されます:
• A だけの部分
• B だけの部分
• A と B の重なっている部分(共通部分)
これらすべてを含む領域が A ∪ B です。
3つ以上の集合の和集合:
A ∪ B ∪ C = { x | x ∈ A または x ∈ B または x ∈ C }
例:A = {1, 2}、B = {2, 3}、C = {3, 4} のとき、
A ∪ B ∪ C = {1, 2, 3, 4}
実数と有理数・無理数の関係:
{ 実数 } = { 有理数 } ∪ { 無理数 }
これは、すべての実数が有理数か無理数のどちらか一方に分類されることを意味します。
有理数と無理数は互いに排他的(重なりがない)なので、
実数 = 有理数 ∪ 無理数 であり、かつ { 有理数 } ∩ { 無理数 } = ∅ です。
和集合の具体例(詳しい版)
例1:数値の集合
A = {1, 2, 3, 4}、B = {3, 4, 5, 6} のとき、
A ∪ B = {1, 2, 3, 4, 5, 6}
(3 と 4 は両方に含まれるが、1回だけ書く)
例2:数の種類
{ 整数 } = { 偶数 } ∪ { 奇数 }
すべての整数は、偶数か奇数のどちらか一方です。
また、{ 偶数 } ∩ { 奇数 } = ∅(空集合)なので、
偶数と奇数は互いに排他的です。
例3:実数の分類
{ 実数 } = { 有理数 } ∪ { 無理数 }
すべての実数は、有理数か無理数のどちらか一方です。
また、{ 有理数 } ∩ { 無理数 } = ∅ なので、
有理数と無理数は互いに排他的です。
例4:複数の集合
A = {1, 2}、B = {2, 3}、C = {3, 4} のとき、
A ∪ B ∪ C = {1, 2, 3, 4}
すべての要素を1回ずつ含みます。
和集合と共通部分の関係
和集合と共通部分には、以下の関係があります:
分配法則:
A ∪ (B ∩ C) = (A ∪ B) ∩ (A ∪ C)
A ∩ (B ∪ C) = (A ∩ B) ∪ (A ∩ C)
例:
A = {1, 2, 3}、B = {2, 3, 4}、C = {3, 4, 5} のとき、
B ∩ C = {3, 4}
A ∪ (B ∩ C) = {1, 2, 3, 4}
A ∪ B = {1, 2, 3, 4}
A ∪ C = {1, 2, 3, 4, 5}
(A ∪ B) ∩ (A ∪ C) = {1, 2, 3, 4}
したがって、A ∪ (B ∩ C) = (A ∪ B) ∩ (A ∪ C) ✓
ド・モルガンの法則:
(A ∪ B)' = A' ∩ B'(補集合の和集合は、補集合の共通部分)
(A ∩ B)' = A' ∪ B'(補集合の共通部分は、補集合の和集合)