フェルマーの小定理の解説

フェルマーの小定理(Fermat's Little Theorem)

17世紀のフランスの数学者ピエール・ド・フェルマーによって発見された、数論における重要な定理です。

整数、偶数、奇数とは

整数、偶数、奇数とは

整数(integer)とは

整数とは、正の整数(自然数)、0、負の整数を合わせた数のことです。

整数 = { ..., -3, -2, -1, 0, 1, 2, 3, ... }

整数は、数直線上で等間隔に並ぶ点として表されます。

偶数(even number)と奇数(odd number)とは

偶数とは、2 で割り切れる整数のことです。奇数とは、2 で割り切れない整数のことです。

偶数 = 2n(n は整数)
奇数 = 2n + 1(n は整数)

よくある質問:整数とは、偶数と奇数が組み合わさったものですか?

答え:ほぼ正しいですが、より正確には「整数は、偶数と奇数のどちらか一方に分類される」です。

正確な表現:
「整数は、偶数と奇数が組み合わさったもの」という表現は、
少し不正確です。より正確には:

整数 = { 偶数 } ∪ { 奇数 }
つまり、すべての整数は、偶数か奇数のどちらか一方に分類されます

重要なポイント:
1. 排他的:1つの整数は、偶数か奇数のどちらか一方です(両方ではありません)
2. 網羅的:すべての整数は、偶数か奇数のどちらかに分類されます
3. 0 は偶数:0 = 2 × 0 なので、0 は偶数です

具体例:
偶数: ..., -4, -2, 0, 2, 4, 6, 8, ...
奇数: ..., -3, -1, 1, 3, 5, 7, 9, ...

判定方法:
整数 n が偶数か奇数かは、n を 2 で割った余りで判定できます:
• n ÷ 2 の余りが 0 → 偶数
• n ÷ 2 の余りが 1 → 奇数

数学的な表現:
• 偶数:n = 2k(k は整数)
• 奇数:n = 2k + 1(k は整数)
• すべての整数 n は、n = 2k または n = 2k + 1 のどちらかの形で表せます

結論:
「整数は、偶数と奇数が組み合わさったもの」という理解は、
意図は伝わりますが、より正確には
整数は、偶数と奇数の和集合である」または
すべての整数は、偶数か奇数のどちらか一方に分類される
と表現するのが適切です。✓

偶数と奇数の性質

演算の性質:
• 偶数 + 偶数 = 偶数
• 奇数 + 奇数 = 偶数
• 偶数 + 奇数 = 奇数
• 偶数 × 偶数 = 偶数
• 奇数 × 奇数 = 奇数
• 偶数 × 奇数 = 偶数

2乗の性質:
• 偶数の2乗 = 偶数
• 奇数の2乗 = 奇数
これが、背理法の証明で「a² が偶数なら a も偶数」と結論できる理由です。
素数とは

素数(prime number)の定義

素数とは、1 より大きい整数で、1 と自分自身以外に正の約数を持たない数のことです。

1 より大きい整数 p が素数である
⇔ p の正の約数は 1 と p のみ

言い換えると、素数は 1 と自分自身でのみ割り切れる数です。

素数の例

小さい方の素数

最初の20個の素数:

2, 3, 5, 7, 11, 13, 17, 19, 23, 29, 31, 37, 41, 43, 47, 53, 59, 61, 67, 71

注意: 2 は唯一の偶数の素数です。それ以外の偶数はすべて 2 で割り切れるため、素数ではありません。

素数でない数(合成数)の例

  • 4:4 = 2 × 2(約数:1, 2, 4)
  • 6:6 = 2 × 3(約数:1, 2, 3, 6)
  • 8:8 = 2 × 4 = 2³(約数:1, 2, 4, 8)
  • 9:9 = 3 × 3 = 3²(約数:1, 3, 9)
  • 10:10 = 2 × 5(約数:1, 2, 5, 10)

これらの数は合成数(composite number)と呼ばれます。

素数の性質

素数の重要な性質

  1. 無限に存在する:ユークリッドによって証明されました。素数は無限に多く存在します。
  2. 素因数分解の一意性:任意の正の整数は、素数の積として一意に表すことができます(算術の基本定理)。
  3. 1 は素数ではない:1 は約数が 1 のみなので、素数の定義から除外されます。
  4. 2 は最小の素数:2 は唯一の偶数の素数であり、最小の素数です。

よくある質問:素数は、2を除けば、2で割れば必ず余りが1になる性質があるが、2で割れば余りが1になるからといってそれは必ずしも素数とはいえない?

答え:はい、その理解で正しいです。

素数の性質(2を除く):
2 以外の素数は、すべて奇数です。
つまり、2 以外の素数を 2 で割ると、余りは必ず 1 になります。

理由:
• 2 以外の偶数は、すべて 2 で割り切れます
• 2 で割り切れる数は、2 と自分自身の2つの約数を持つので、素数ではありません
• したがって、2 以外の素数は、必ず奇数です
• 奇数を 2 で割ると、余りは 1 になります

具体例:
素数(2を除く)を2で割った余り:
• 3 ÷ 2 = 1 余り 1 ✓
• 5 ÷ 2 = 2 余り 1 ✓
• 7 ÷ 2 = 3 余り 1 ✓
• 11 ÷ 2 = 5 余り 1 ✓
• 13 ÷ 2 = 6 余り 1 ✓
• 17 ÷ 2 = 8 余り 1 ✓
• 19 ÷ 2 = 9 余り 1 ✓
• 23 ÷ 2 = 11 余り 1 ✓

しかし、逆は成り立たない:
2 で割って余りが 1 になる数(奇数)が、必ずしも素数とは限りません。

奇数だが素数ではない例(合成数):
• 9 ÷ 2 = 4 余り 1 → しかし 9 = 3 × 3(合成数)✗
• 15 ÷ 2 = 7 余り 1 → しかし 15 = 3 × 5(合成数)✗
• 21 ÷ 2 = 10 余り 1 → しかし 21 = 3 × 7(合成数)✗
• 25 ÷ 2 = 12 余り 1 → しかし 25 = 5 × 5(合成数)✗
• 27 ÷ 2 = 13 余り 1 → しかし 27 = 3 × 3 × 3(合成数)✗
• 33 ÷ 2 = 16 余り 1 → しかし 33 = 3 × 11(合成数)✗
• 35 ÷ 2 = 17 余り 1 → しかし 35 = 5 × 7(合成数)✗
• 39 ÷ 2 = 19 余り 1 → しかし 39 = 3 × 13(合成数)✗
• 49 ÷ 2 = 24 余り 1 → しかし 49 = 7 × 7(合成数)✗

数学的な表現:
2 以外の素数 → 奇数:これは真です(2 以外の素数は必ず奇数)
奇数 → 素数:これは偽です(奇数が必ずしも素数とは限らない)
2 で割って余りが 1 → 素数:これは偽です(2 で割って余りが 1 でも合成数の場合がある)

重要なポイント:
1. 2 以外の素数は必ず奇数:これは正しい性質です
2. しかし、奇数がすべて素数というわけではない:多くの奇数は合成数です
3. 2 で割って余りが 1 になることは、素数の必要条件だが十分条件ではない
  • 必要条件:素数(2を除く)ならば、2で割って余りが1
  • 十分条件ではない:2で割って余りが1でも、素数とは限らない

素数の判定:
2 で割って余りが 1 になることは、素数であるための必要条件ですが、
それだけでは素数であることを確定できません。
素数かどうかを判定するには、2 から √n までの整数で割り切れるかどうかを確認する必要があります。

結論:
はい、その理解で正しいです!
• 素数(2を除く)は、2で割れば必ず余りが1になる(奇数である)
• しかし、2で割れば余りが1になる(奇数である)からといって、
  それは必ずしも素数とはいえない
• 多くの奇数は合成数です
これが、素数と奇数の関係です。✓
背理法(Proof by Contradiction)とは

背理法(Proof by Contradiction)とは

背理法の定義

背理法(proof by contradiction, ラテン語:reductio ad absurdum)は、数学において非常に強力な証明手法の一つです。証明したい命題の否定を仮定し、そこから矛盾を導き出すことで、元の命題が正しいことを示す方法です。

命題 P を証明したいとき:
1. 「P が偽である」と仮定する
2. その仮定から矛盾を導く
3. したがって、P は真である

背理法の論理構造

背理法の基本パターン

背理法は以下の論理的な構造に基づいています:

論理的な根拠:
命題 P とその否定 ¬P のうち、どちらか一方だけが真です。
もし ¬P が真だとすると矛盾が生じるなら、P が真でなければなりません。
(¬P → 矛盾) → P

ここで、¬P は「P でない」を意味し、→ は「ならば」を意味します。

背理法の具体例

例1:√2 が無理数であることの証明

背理法の最も有名な例の一つです。

証明したいこと: √2 は無理数である

ステップ1:仮定
√2 が有理数であると仮定します。
有理数の定義により、√2 = a/b(a, b は整数、b ≠ 0)と表せます。
さらに、上記の定理により、a と b は互いに素としても一般性を失いません。
つまり、√2 = a/b(a, b は互いに素な整数、b ≠ 0)と表せるとします。

なぜ a と b を互いに素としても一般性を失わないのか?
任意の有理数は、互いに素な整数の比として一意に表すことができます(算術の基本定理の応用)。

具体例で理解する:
もし √2 が有理数なら、例えば以下のような表し方が考えられます:
• √2 = 4/6
• √2 = 6/9
• √2 = 8/12
• √2 = 2/3(約分した形)

しかし、これらはすべて同じ数を表しています(4/6 = 6/9 = 8/12 = 2/3)。
約分前の形(4/6)でも約分後の形(2/3)でも、同じ有理数を表しています。
したがって、互いに素な形(2/3)を選んでも、すべての可能性をカバーしています

数学的な理由:
有理数 r = c/d(c, d は整数、d ≠ 0)とします。
c と d の最大公約数を g = gcd(c, d) とすると、
c = ga'、d = gb'(a', b' は互いに素な整数)と表せます。
したがって、r = c/d = (ga')/(gb') = a'/b'
ここで、a' と b' は互いに素です。

重要な注意:互いに素でなければいけないのか?
答え:いいえ、互いに素でなければいけないわけではありません。

「互いに素でなければいけない」という強制ではありません。
正確には「互いに素としても一般性を失わない」という意味です。

なぜ「互いに素としても」と言うのか:
• もし √2 = 4/6 と表せたとしても、これは 2/3 と約分できます
• 4/6 と 2/3 は同じ数を表しているので、どちらを使っても同じです
• しかし、互いに素な形(2/3)を使う方が証明が簡単になります
• なぜなら、互いに素でない形(4/6)を使うと、証明が複雑になるからです

互いに素でない形でも証明できるか?
理論的には可能ですが、より複雑になります。
例えば、√2 = 4/6 と仮定すると:
• 2 = 16/36 → 72 = 16 → これは矛盾ですが、証明が複雑です
• 互いに素な形(2/3)を使うと、証明がより明確で簡潔になります

結論:
もし √2 が有理数なら、必ず互いに素な整数の比として表せるはずです。
逆に、互いに素な形で表せないなら、有理数ではありません。
このため、互いに素という条件を付けても一般性を失いません。✓
むしろ、この条件があることで、後の矛盾の導出が明確になります。
(互いに素でない形でも証明は可能ですが、互いに素な形を使う方が証明が簡単で明確です)

なぜ互いに素な形(2/3)を使う方が証明が簡単になるのか?
互いに素でない形(4/6)と互いに素な形(2/3)を比較してみましょう。

方法1:互いに素でない形(4/6)を使った場合
√2 = 4/6 と仮定します。
両辺を2乗すると:2 = 16/36 = 4/9
したがって:18 = 4
これは明らかに矛盾ですが、なぜ矛盾なのかが少し分かりにくいです。
さらに、4 と 6 は互いに素ではないので、共通の約数 2 を持っています。
この共通の約数が証明を複雑にします。

方法2:互いに素な形(2/3)を使った場合
√2 = 2/3 と仮定します(2 と 3 は互いに素)。
両辺を2乗すると:2 = 4/9
したがって:18 = 4
これも矛盾ですが、互いに素という条件があることで、より明確な矛盾を導けます
具体的には、ステップ3で「a と b が両方とも偶数なら、互いに素ではない」という
明確な矛盾を導くことができます。

互いに素な形を使う利点:
1. 矛盾が明確:互いに素という条件から、「a と b が両方とも偶数」という
  事実が「互いに素ではない」という明確な矛盾を導きます
2. 証明が簡潔:共通の約数を考慮する必要がなく、証明が簡潔になります
3. 理解しやすい:互いに素という条件が、証明の流れを理解しやすくします
4. 一般的な方法:この方法は、他の無理数の証明にも応用できます

互いに素でない形を使った場合の問題点:
1. 矛盾が不明確:18 = 4 という矛盾は明らかですが、
  なぜこの矛盾が生じたのかが少し分かりにくいです
2. 証明が複雑:共通の約数を考慮する必要があり、証明が複雑になります
3. 一般化が困難:この方法は、他の無理数の証明に応用しにくいです

結論:
互いに素な形を使うことで、証明がより明確で簡潔になり、理解しやすくなります。
これが、背理法の証明で互いに素な形を使う理由です。✓

まとめ:なぜ互いに素な形を使うのか?
ユーザーの理解を整理すると、以下のようになります:

1. 互いに素な形の分数は約分できない
• 互いに素な分数(既約分数)は、これ以上約分できません
• 例:2/3 は約分できない(gcd(2, 3) = 1)

2. 背理法の証明は互いに素な形の分数を扱うことができる
• 任意の有理数は、互いに素な形に約分できます
• したがって、互いに素な形を仮定しても、すべての可能性をカバーしています
• 例:√2 = 4/6 と表せたとしても、これは 2/3 と約分できます

3. 互いに素な形で計算する方が楽(証明が簡単)
• 互いに素な形を使うと、矛盾を導きやすくなります
• 具体的には、「a と b が両方とも偶数なら、互いに素ではない」という
  明確な矛盾を導くことができます
• 互いに素でない形を使うと、共通の約数を考慮する必要があり、証明が複雑になります

背理法での具体的な流れ:
1. √2 が有理数であると仮定
2. 互いに素な形で表す:√2 = a/b(a, b は互いに素)
3. 変形:2 = a²/b² → 2b² = a²
4. a² は偶数 → a も偶数 → a = 2k
5. 代入:4k² = 2b² → b² = 2k² → b も偶数
6. 矛盾:a と b が両方とも偶数なら、互いに素ではない!
7. しかし、最初に「a と b は互いに素」と仮定したので、矛盾が生じた
8. したがって、√2 は有理数ではない(無理数)

よくある誤解:a と b が両方とも偶数なら、なぜ無理数なのか?
答え:直接的に無理数を示すのではなく、背理法の論理構造によって導かれます。

重要なポイント:
「a と b が両方とも偶数」という事実が、直接「√2 は無理数」を示すわけではありません。
背理法の論理構造によって、「√2 が有理数である」という最初の仮定が間違っていたことが示されます。

背理法の論理構造:
1. 最初の仮定:√2 が有理数である
2. そこから導かれる:√2 = a/b(a, b は互いに素)と表せる
3. 変形の結果:a と b が両方とも偶数になる
4. 矛盾の発生:「a と b は互いに素」と「a と b が両方とも偶数」は矛盾
5. 結論:最初の仮定「√2 が有理数である」が間違っていた
6. したがって:√2 は有理数ではない、つまり無理数である

より詳しい説明:
• 「a と b が両方とも偶数」という事実自体は、有理数とも無理数とも関係ありません
• しかし、この事実が「a と b は互いに素」という仮定と矛盾しています
• この矛盾は、「√2 = a/b(a, b は互いに素)」という表現が不可能であることを示しています
• もし √2 が有理数なら、必ず互いに素な整数の比として表せるはずです
• しかし、そのような表現が存在しないことが示されたので、√2 は有理数ではありません
• したがって、√2 は無理数です

背理法の一般的な構造:
背理法は以下の構造に従います:
1. 証明したい命題の否定を仮定する(ここでは「√2 が有理数」)
2. その仮定から論理的に導かれる結果を求める
3. その結果が矛盾を引き起こすことを示す
4. したがって、最初の仮定が間違っていたと結論する
5. つまり、元の命題(「√2 は無理数」)が正しい

この証明での具体的な流れ:
• 仮定:√2 が有理数 → √2 = a/b(互いに素)
• 導かれる結果:a と b が両方とも偶数
• 矛盾:「互いに素」と「両方とも偶数」は矛盾
• 結論:仮定「√2 が有理数」が間違っていた
• したがって:√2 は無理数

まとめ:
「a と b が両方とも偶数」という事実は、直接無理数を示すのではなく、
背理法の論理構造によって、「√2 が有理数である」という仮定が間違っていたことを示し、
その結果として「√2 は無理数である」という結論が導かれます。✓

互いに素な形を使う利点(再確認):
矛盾が明確:「互いに素」という条件から、「両方とも偶数」という事実が
  「互いに素ではない」という明確な矛盾を導きます
証明が簡潔:共通の約数を考慮する必要がありません
理解しやすい:証明の流れが明確で、理解しやすくなります
一般的:この方法は、他の無理数の証明にも応用できます

結論:
はい、その理解で正しいです!
• 互いに素な形の分数は約分できない
• 背理法の証明は互いに素な形の分数を扱うことができる
• 互いに素な形で計算する方が楽(証明が簡単)
これが、背理法の証明で互いに素な形を使う理由です。✓

ステップ2:変形
両辺を2乗すると:2 = a²/b²
したがって:2b² = a²

ステップ3:矛盾の導出
a² = 2b² より、a² は偶数です。

なぜ a² は偶数なのか?
理由: 2b² = a² という式から、左辺の 2b² が偶数であるためです。

詳しい説明:
• 式:2b² = a²
• 左辺:2b² = 2 × b²
• b² は整数(b は整数なので、b² も整数)
2 を掛けた数は必ず偶数(2 × 整数 = 偶数)
• したがって、2b² は偶数です
• 等号が成り立つので、右辺の a² も偶数でなければなりません
• したがって、a² は偶数です。✓

注意:
「偶数でも奇数でも2倍すれば偶数」という理解は、ほぼ正しいですが、
より正確には「2 を掛けた数は必ず偶数」です。
例えば:
• 2 × 3 = 6(偶数)
• 2 × 4 = 8(偶数)
• 2 × 5 = 10(偶数)
• 2 × b² = 2b²(b² が整数なら必ず偶数)

数学的な表現:
任意の整数 n に対して、2n は偶数です。
ここで、n = b²(整数)とすると、2b² は偶数です。
したがって、a² = 2b² より、a² は偶数です。

したがって、a も偶数です(奇数の2乗は奇数なので)。
a = 2k とおくと:a² = 4k² = 2b²
したがって:b² = 2k²
これは b² が偶数であることを意味し、b も偶数です。

しかし、a と b が両方とも偶数なら、互いに素ではありません!
これは「a と b は互いに素」という仮定に矛盾します。

よくある質問:a と b は互いに素であるならば、分母と分子のどちらかが必ず奇数である?
答え:いいえ、必ずしもそうではありません。両方とも奇数である場合もあります。

重要なポイント:
「互いに素」という条件から言えることは:
両方とも偶数であることは不可能(両方とも偶数なら、共通の約数 2 があるため、互いに素ではない)
両方とも奇数であることは可能(例:3/5、7/11、15/23 など)
一方が偶数、もう一方が奇数であることも可能(例:2/3、4/7、6/11 など)

具体例:
両方とも奇数の場合(互いに素):
• 3/5:分子 3(奇数)、分母 5(奇数)→ gcd(3, 5) = 1 → 互いに素 ✓
• 7/11:分子 7(奇数)、分母 11(奇数)→ gcd(7, 11) = 1 → 互いに素 ✓
• 15/23:分子 15(奇数)、分母 23(奇数)→ gcd(15, 23) = 1 → 互いに素 ✓

一方が偶数、もう一方が奇数の場合(互いに素):
• 2/3:分子 2(偶数)、分母 3(奇数)→ gcd(2, 3) = 1 → 互いに素 ✓
• 4/7:分子 4(偶数)、分母 7(奇数)→ gcd(4, 7) = 1 → 互いに素 ✓
• 6/11:分子 6(偶数)、分母 11(奇数)→ gcd(6, 11) = 1 → 互いに素 ✓

両方とも偶数の場合(互いに素ではない):
• 4/6:分子 4(偶数)、分母 6(偶数)→ gcd(4, 6) = 2 → 互いに素ではない ✗
• 8/12:分子 8(偶数)、分母 12(偶数)→ gcd(8, 12) = 4 → 互いに素ではない ✗
• 10/14:分子 10(偶数)、分母 14(偶数)→ gcd(10, 14) = 2 → 互いに素ではない ✗

正確な表現:
「a と b が互いに素であるならば、両方とも偶数であることは不可能」
つまり、「a と b が互いに素ならば、少なくとも一方は奇数である」が正確です。
「どちらかが必ず奇数」という表現は、両方とも奇数である場合も含まれるので、
少し誤解を招く可能性があります。

背理法の証明での重要性:
• 互いに素な分数では、両方とも偶数であることは不可能
• しかし、変形の結果、a と b が両方とも偶数になった
• これは「a と b は互いに素」という仮定と矛盾する
• したがって、最初の仮定「√2 が有理数」が間違っていた

結論:
「a と b が互いに素ならば、どちらかが必ず奇数」という表現は、
技術的には正しいですが、「少なくとも一方は奇数」または
「両方とも偶数ではない」と表現する方が正確で理解しやすくなります。✓

ステップ4:結論
したがって、√2 は有理数ではありません。つまり、√2 は無理数です。

例2:最大の素数は存在しない

背理法を使って、最大の素数が存在しないことを示します。

証明したいこと: 最大の素数は存在しない

ステップ1:仮定
最大の素数が存在すると仮定します。それを P とします。

ステップ2:新しい数を構成
すべての素数の積に 1 を加えた数を考えます:
N = 2 × 3 × 5 × 7 × ... × P + 1

ステップ3:矛盾の導出
N は既知のどの素数でも割り切れません(余りは常に 1)。
したがって、N は素数であるか、N より小さい素数で割り切れます。
どちらの場合でも、P より大きい素数が存在することになります。
これは「P が最大の素数」という仮定に矛盾します。

よくある誤解:N = p₁ × p₂ × ... × pₙ + 1 は必ず素数になる?
答え:いいえ、必ずしも素数になるわけではありません。N は素数になることもあれば、合成数になることもあります。

重要なポイント:
ユークリッドの証明で重要なのは、N が必ず素数になることではありません。
重要なのは、N が既知の素数(p₁, p₂, ..., pₙ)のどれとも異なる新しい素数を素因数として持つことです。

2つの場合:
ケース1:N が素数の場合
• この場合、N 自身が新しい素数です
• 例:2 × 3 + 1 = 7(素数)
• 例:2 × 3 × 5 × 7 × 11 × 13 + 1 = 30031
  (実際には 30031 = 59 × 509 なので合成数ですが、最初の6個の素数を使った場合)

ケース2:N が合成数の場合
• この場合、N を割り切る素数が存在します
• しかし、その素数は既知の素数(p₁, p₂, ..., pₙ)のどれとも異なります
• なぜなら、N は既知のどの素数でも割り切れないからです
• したがって、N の素因数は、既知の素数とは異なる新しい素数です
• 例:2 × 3 × 5 × 7 × 11 × 13 + 1 = 30031 = 59 × 509
  59 と 509 は新しい素数です

具体例で確認:
例1:N が素数になる場合
• p₁ = 2:N = 2 + 1 = 3(素数)✓
• p₁, p₂ = 2, 3:N = 2 × 3 + 1 = 7(素数)✓
• p₁, p₂, p₃ = 2, 3, 5:N = 2 × 3 × 5 + 1 = 31(素数)✓

例2:N が合成数になる場合
• p₁, p₂, p₃, p₄, p₅, p₆ = 2, 3, 5, 7, 11, 13:
  N = 2 × 3 × 5 × 7 × 11 × 13 + 1 = 30031
  30031 = 59 × 509(合成数)
  しかし、59 と 509 は新しい素数です
• p₁, p₂, p₃, p₄ = 2, 3, 5, 7:
  N = 2 × 3 × 5 × 7 + 1 = 211(素数)

なぜ N が合成数でも証明が成立するのか:
• N が合成数の場合、N を割り切る素数が存在します
• その素数は、N の素因数です
• しかし、N は既知のどの素数でも割り切れません
• したがって、N の素因数は、既知の素数とは異なる新しい素数です
• これは「既知の素数がすべて」という仮定に矛盾します

結論:
「素数を順番に掛けていって、それに+1すれば、それは素数だ」という理解は誤りです。
正確には:
• N = p₁ × p₂ × ... × pₙ + 1 は、素数になることもあれば合成数になることもあります
• しかし、どちらの場合でも、N は既知の素数とは異なる新しい素数を素因数として持ちます
• これが、ユークリッドの証明の核心です
• 重要なのは「N が素数になること」ではなく、「新しい素数が存在すること」です。✓

ステップ4:結論
したがって、最大の素数は存在しません。

背理法の特徴と利点

背理法が有効な場合

  1. 存在しないことを証明する場合:「〜が存在しない」という命題を証明するとき
  2. 一意性を証明する場合:「唯一である」ことを証明するとき
  3. 直接証明が困難な場合:直接的な証明が難しいとき、背理法が簡潔な場合がある
  4. 無限に関する証明:無限集合に関する性質を証明するとき
注意: 背理法は強力な手法ですが、矛盾を導く過程で何が矛盾なのかを明確にすることが重要です。また、直接証明が可能な場合は、直接証明の方が理解しやすい場合もあります。

背理法と直接証明の比較

例:偶数と奇数の和

命題: 偶数と奇数の和は奇数である

直接証明:
偶数を 2a、奇数を 2b+1 とおく(a, b は整数)。
和は:2a + (2b+1) = 2(a+b) + 1
これは奇数の形なので、偶数と奇数の和は奇数です。✓
背理法による証明:
偶数と奇数の和が偶数であると仮定します。
偶数を 2a、奇数を 2b+1 とおくと:
2a + (2b+1) = 2c(c は整数)と仮定
変形すると:2b+1 = 2(c-a)
左辺は奇数、右辺は偶数なので矛盾です。
したがって、偶数と奇数の和は奇数です。✓

この場合、直接証明の方が簡潔で理解しやすいですが、背理法でも証明できます。

有理数と無理数

有理数と無理数

有理数とは

有理数(rational number)の定義

有理数とは、2つの整数の比(分数)として表すことができる数のことです。

有理数 = { a/b | a, b は整数、b ≠ 0 }

ここで、a を分子(numerator)、b を分母(denominator)と呼びます。

「2つの整数の比」とは?

「2つの整数の比」とは、2つの整数を分数の形で表したものです。

比(ratio)の意味:
「比」とは、2つの量の関係を表す方法です。
数学では、比は分数の形で表されます。

例:
• 整数 3 と整数 5 の比 → 3/5 または 3:5
• 整数 1 と整数 2 の比 → 1/2 または 1:2
• 整数 7 と整数 3 の比 → 7/3 または 7:3

重要なポイント:
1. 両方とも整数である必要がある
  • 3/5 → 3 と 5 は整数 ✓
  • √2/3 → √2 は整数ではない ✗
  • 1.5/2 → 1.5 は整数ではない ✗

2. 分母は 0 であってはならない
  • 3/0 は定義されない(0 で割ることはできない)
  • したがって、b ≠ 0 という条件が必要

3. 分数として計算できる
  • 3/5 = 0.6(有限小数)
  • 1/3 = 0.333...(循環小数)
  • 7/3 = 2.333...(循環小数)

「比」と「分数」の関係:
• 比 3:5 は分数 3/5 と同じ意味
• 比 1:2 は分数 1/2 と同じ意味
• 有理数の定義では「比」と「分数」は同じ意味で使われます

具体例で理解する

例1:整数の比として表せる数(有理数)
• 1/2:整数 1 と整数 2 の比 → 有理数 ✓
• 3/4:整数 3 と整数 4 の比 → 有理数 ✓
• 5/1:整数 5 と整数 1 の比 → 有理数 ✓(これは整数 5 と同じ)
• -2/3:整数 -2 と整数 3 の比 → 有理数 ✓(負の数も含む)
• 0/1:整数 0 と整数 1 の比 → 有理数 ✓(0 も有理数)

例2:整数の比として表せない数(無理数)
• √2:整数の比として表せない → 無理数
• π:整数の比として表せない → 無理数
• e:整数の比として表せない → 無理数
• √2/√3:分子と分母が整数ではない → 無理数

例3:見た目は複雑でも、整数の比として表せる場合
• √4/√4 = 4/4 = 1/1 → 有理数 ✓
• (√2)²/2 = 2/2 = 1/1 → 有理数 ✓
• √(1/4) = 1/2 → 有理数 ✓

a/b(a, b は整数、b ≠ 0)が有理数であることの証明

有理数の定義から、a/b(a, b は整数、b ≠ 0)の形で表せる数は、定義により有理数です。

証明:
有理数の定義は「2つの整数の比として表せる数」です。
a/b は、整数 a と整数 b(b ≠ 0)の比として表されています。
したがって、a/b は有理数です。✓

注意: a と b が互いに素である必要はありません。
例えば、4/6 も有理数ですが、これは 2/3 と約分できます。
しかし、約分前の形 4/6 も有理数の定義を満たしています。

よくある質問:互いに素の形の分数は約分はできないのですか?

答え:はい、互いに素な形の分数は約分できません。これが「互いに素」の意味です。

互いに素な分数の定義:
分数 a/b が互いに素な形(既約分数)であるとは、
分子 a と分母 b が互いに素(gcd(a, b) = 1)であることを意味します。

約分とは:
約分とは、分子と分母を共通の約数で割ることです。
例えば、4/6 を約分すると:4/6 = (4÷2)/(6÷2) = 2/3
ここで、2 は 4 と 6 の共通の約数(最大公約数)です。

互いに素な分数は約分できない理由:
互いに素な分数 a/b では、gcd(a, b) = 1 です。
つまり、a と b の最大公約数は 1 です。
約分するには、1 より大きい共通の約数が必要ですが、
互いに素な分数には、1 より大きい共通の約数が存在しません。
したがって、互いに素な分数は約分できません。✓

具体例:
• 2/3:gcd(2, 3) = 1 → 互いに素 → 約分できない ✓
• 1/2:gcd(1, 2) = 1 → 互いに素 → 約分できない ✓
• 3/5:gcd(3, 5) = 1 → 互いに素 → 約分できない ✓
• 7/11:gcd(7, 11) = 1 → 互いに素 → 約分できない ✓

約分できる分数との比較:
• 4/6:gcd(4, 6) = 2 → 互いに素ではない → 約分できる(4/6 = 2/3)
• 8/12:gcd(8, 12) = 4 → 互いに素ではない → 約分できる(8/12 = 2/3)
• 15/20:gcd(15, 20) = 5 → 互いに素ではない → 約分できる(15/20 = 3/4)

重要なポイント:
1. 互いに素な分数 = 既約分数:これ以上約分できない分数
2. 約分できない = 互いに素:約分できない分数は、分子と分母が互いに素
3. すべての有理数は、互いに素な形に約分できる
  任意の有理数 a/b は、最大公約数で約分することで、互いに素な形にできます
4. 互いに素な形は一意:同じ有理数を互いに素な形で表す方法は唯一です

例:約分の過程
12/18 を互いに素な形に約分する:
• gcd(12, 18) = 6
• 12/18 = (12÷6)/(18÷6) = 2/3
• gcd(2, 3) = 1 → 互いに素な形 ✓
• これ以上約分できない

結論:
互いに素な形の分数は、定義により約分できません。
これが「互いに素」という言葉の意味です。
逆に、約分できる分数は、互いに素ではありません。

有理数の例

  • 整数: 3 = 3/1、-5 = -5/1 → すべて有理数
  • 分数: 1/2、3/4、-2/5 → すべて有理数
  • 有限小数: 0.5 = 1/2、0.75 = 3/4 → すべて有理数
  • 循環小数: 0.333... = 1/3、0.142857142857... = 1/7 → すべて有理数

よくある質問:1/3 は有理数ですか?

答え:はい、1/3 は有理数です。

理由1:定義による
有理数の定義は「2つの整数の比として表せる数」です。
1/3 は、整数 1 と整数 3 の比として表されています。
したがって、1/3 は有理数です。✓

理由2:小数表現による
1/3 を小数で表すと:1/3 = 0.333333...
これは循環小数(同じ数字「3」が無限に繰り返される)です。
循環小数は有理数の特徴の一つです。
したがって、1/3 は有理数です。✓

理由3:互いに素な整数による表現
1 と 3 は互いに素な整数です(gcd(1, 3) = 1)。
1/3 = 1/3(既に互いに素な整数の比)
したがって、1/3 は有理数です。✓

1/3 が有理数であることの証明

証明:
有理数の定義により、a/b(a, b は整数、b ≠ 0)の形で表せる数は有理数です。
1/3 は、a = 1、b = 3 とおくと、1/3 = a/b の形で表せます。
ここで、1 と 3 は整数であり、3 ≠ 0 です。
したがって、1/3 は有理数です。✓

補足:
1/3 は有限小数ではありませんが、循環小数として表せます。
有限小数でないからといって無理数ではありません。
有理数には、有限小数と循環小数の両方が含まれます。

よくある質問:互いに素な整数の分数は無限小数にならないのですか?

答え:いいえ、互いに素な整数の分数でも無限小数(循環小数)になることがあります。

重要なポイント:
互いに素な整数の分数(有理数)は、有限小数になる場合と循環小数になる場合の両方があります

有限小数になる場合:
分母の素因数が 2 と 5 のみの場合、有限小数になります。
• 1/2 = 0.5(有限小数)← 1 と 2 は互いに素
• 3/4 = 0.75(有限小数)← 3 と 4 は互いに素
• 1/5 = 0.2(有限小数)← 1 と 5 は互いに素
• 7/8 = 0.875(有限小数)← 7 と 8 は互いに素
• 3/20 = 0.15(有限小数)← 3 と 20 は互いに素

循環小数になる場合:
分母に 2 と 5 以外の素因数がある場合、循環小数になります。
• 1/3 = 0.333...(循環小数)← 1 と 3 は互いに素
• 1/7 = 0.142857142857...(循環小数)← 1 と 7 は互いに素
• 2/3 = 0.666...(循環小数)← 2 と 3 は互いに素
• 5/6 = 0.8333...(循環小数)← 5 と 6 は互いに素
• 1/11 = 0.090909...(循環小数)← 1 と 11 は互いに素

判定方法:
互いに素な分数 a/b を既約分数として表したとき:
• 分母 b の素因数が 2 と 5 のみ → 有限小数
• 分母 b に 2 と 5 以外の素因数がある → 循環小数

例:
• 1/2:分母 2 = 2¹(2 のみ)→ 有限小数 ✓
• 3/4:分母 4 = 2²(2 のみ)→ 有限小数 ✓
• 1/5:分母 5 = 5¹(5 のみ)→ 有限小数 ✓
• 3/20:分母 20 = 2² × 5¹(2 と 5 のみ)→ 有限小数 ✓
• 1/3:分母 3 = 3¹(3 がある)→ 循環小数 ✓
• 1/7:分母 7 = 7¹(7 がある)→ 循環小数 ✓
• 5/6:分母 6 = 2 × 3(3 がある)→ 循環小数 ✓

重要な注意:
• 互いに素かどうかは、有限小数か循環小数かを決める要因ではありません
• 有限小数か循環小数かは、分母の素因数によって決まります
• 互いに素な分数でも、分母に 2 と 5 以外の素因数があれば循環小数になります
• すべての有理数(互いに素な分数)は、有限小数または循環小数のどちらかです
• 非循環無限小数になるのは無理数だけです

互いに素な整数による表現

任意の有理数は、互いに素な整数の比として表すことができます:

定理: 任意の有理数 r は、r = a/b(a, b は互いに素な整数、b > 0)の形で一意に表すことができる。

証明のアイデア:
有理数 r = c/d(c, d は整数、d ≠ 0)とします。
c と d の最大公約数を g = gcd(c, d) とすると、
c = ga'、d = gb'(a', b' は互いに素な整数)と表せます。
したがって、r = c/d = (ga')/(gb') = a'/b'
ここで、a' と b' は互いに素です。
必要に応じて、b' が負の場合は a' と b' の符号を変えることで、b' > 0 とできます。

例:
• 4/6 = 2/3(gcd(4, 6) = 2 で約分)
• 15/20 = 3/4(gcd(15, 20) = 5 で約分)
• -8/12 = -2/3(gcd(8, 12) = 4 で約分、分母を正に)

有理数と無理数の違い

無理数(irrational number)の定義

無理数とは、有理数でない実数のことです。つまり、2つの整数の比(分数)として表すことができない実数です。

無理数 = { 実数 } - { 有理数 }
つまり、a/b(a, b は整数、b ≠ 0)の形で表せない実数

よくある質問:分数で表せないものが無理数ですか?

答え:ほぼ正しいですが、正確には「2つの整数の比として表せない実数が無理数」です。

正確な表現:
「分数で表せない」という表現は少し曖昧です。
正確には「2つの整数の比として表せない実数」が無理数です。

重要な注意点:
1. 実数である必要がある
  • 無理数は実数の一部です
  • 虚数(例:√(-1) = i)は実数ではないので、無理数ではありません
  • 複素数も実数ではないので、無理数ではありません

2. 「分数」の意味
  • ここで言う「分数」は「2つの整数の比」を意味します
  • 例えば、√2/√3 は分数の形ですが、分子と分母が整数ではないので、これは無理数です
  • 無理数かどうかは「整数/整数」の形で表せるかどうかで判断します

3. すべての実数は有理数か無理数のどちらか
  • 実数は必ず有理数か無理数のどちらかに分類されます
  • どちらでもない実数は存在しません

無理数の判定方法

ある数が無理数かどうかを判定するには:

ステップ1:実数かどうか確認
まず、その数が実数であることを確認します。
虚数や複素数は無理数ではありません。

ステップ2:整数の比として表せるか確認
その数が a/b(a, b は整数、b ≠ 0)の形で表せるかどうかを確認します。
• 表せる → 有理数
• 表せない → 無理数

例:
• √2:実数である。整数の比として表せない → 無理数
• π:実数である。整数の比として表せない → 無理数
• 1/3:実数である。整数の比として表せる(1/3 = 1/3) → 有理数
• i(虚数単位):実数ではない → 無理数ではない(実数でない)
• √2/√3:実数である。しかし、整数の比として表せない → 無理数

よくある誤解

誤解1:「分数の形でないものは無理数」
❌ 間違い:整数 5 は分数の形ではありませんが、有理数です(5 = 5/1)
✓ 正しい:整数の比として表せない実数が無理数

誤解2:「無限小数は無理数」
❌ 間違い:0.333... は無限小数ですが、有理数です(1/3)
✓ 正しい:非循環無限小数が無理数

誤解3:「根号(√)がついているものは無理数」
❌ 間違い:√4 = 2 は有理数です
❌ 間違い:√(1/4) = 1/2 は有理数です
✓ 正しい:完全平方数でない正の整数の平方根は無理数(例:√2, √3, √5)

誤解4:「分数の形なら有理数」
❌ 間違い:√2/√3 は分数の形ですが、無理数です
✓ 正しい:整数/整数 の形で表せる実数が有理数

よくある質問:√2/√2 は有理数ですか?

答え:はい、√2/√2 は有理数です。

理由:計算すると 1 になる
√2/√2 = 1
1 は有理数です(1 = 1/1 として表せる)。
したがって、√2/√2 は有理数です。✓

重要なポイント:
• √2/√2 は分数の形をしていますが、計算すると 1 という整数になります
• 同じ数で割ると 1 になるのは、数学の基本的な性質です
• 見た目が無理数の形でも、計算結果が整数や有理数になることがあります

類似の例:
• √3/√3 = 1(有理数)
• √5/√5 = 1(有理数)
• (√2)² = 2(有理数)
• (√3)² = 3(有理数)
• √4 = 2(有理数、完全平方数)
• √(1/4) = 1/2(有理数)

注意:
一方で、√2/√3 = √(2/3) は無理数です。
これは整数の比として表すことができません。

よくある質問:無理数の二乗は、有理数ですか?

答え:必ずしもそうではありません。無理数の二乗が有理数になる場合と、無理数のままの場合の両方があります。

無理数の二乗が有理数になる場合:
• (√2)² = 2 → 有理数 ✓
• (√3)² = 3 → 有理数 ✓
• (√5)² = 5 → 有理数 ✓
• (√7)² = 7 → 有理数 ✓
• 一般に、(√n)² = n(n は正の整数)→ 有理数 ✓

無理数の二乗が無理数のままの場合:
• π² → 無理数(π は無理数なので、π² も無理数)
• e² → 無理数(e は無理数なので、e² も無理数)
• (√2 + √3)² = 2 + 2√6 + 3 = 5 + 2√6 → 無理数
• (√2 × √3)² = (√6)² = 6 → 有理数(これは例外)

重要なポイント:
1. 平方根の二乗:√n(n は完全平方数でない正の整数)の二乗は有理数になります
2. 超越数の二乗:π や e のような超越数の二乗は無理数のままです
3. 無理数の和の二乗:無理数同士の和の二乗は、一般に無理数のままです
4. 無理数の積の二乗:無理数同士の積の二乗は、有理数になる場合があります

証明のアイデア:
(√2)² = 2 が有理数であることは明らかです。
一方、π² が無理数であることは、π が超越数であることから証明されます。
(超越数は、有理数係数の代数方程式の解にならない数です)

有理数と無理数の主な違い

特徴 有理数 無理数
定義 2つの整数の比として表せる 2つの整数の比として表せない
表現 a/b(a, b は整数、b ≠ 0) a/b の形では表せない
小数表現 有限小数または循環小数 非循環無限小数
1/2, 3/4, 0.5, 0.333..., 整数 √2, √3, π, e, log₂(3)
個数 可算無限個 非可算無限個

小数表現による見分け方

有理数と無理数は、小数表現を見ることで区別できます:

有理数の小数表現:
有限小数: 0.5、0.75、1.25 など(有限桁で終わる)
循環小数: 0.333...、0.142857142857...、0.1666... など(同じパターンが繰り返される)

無理数の小数表現:
非循環無限小数: 1.41421356...(√2)、3.14159265...(π)、2.71828182...(e)など(繰り返しパターンがない無限小数)

具体例で理解する

有理数の例:
• 1/2 = 0.5(有限小数)
• 1/3 = 0.333...(循環小数、周期1)
• 1/7 = 0.142857142857...(循環小数、周期6)
• 22/7 = 3.142857142857...(π の近似値だが、有理数)
• 整数 5 = 5.0(有限小数)

無理数の例:
• √2 = 1.4142135623730950...(非循環無限小数)
• √3 = 1.7320508075688772...(非循環無限小数)
• π = 3.1415926535897932...(非循環無限小数)
• e = 2.7182818284590452...(非循環無限小数)
• log₂(3) = 1.5849625007211561...(非循環無限小数)

重要な性質

  1. 実数の分類: すべての実数は、有理数か無理数のどちらか一方に分類されます。
  2. 密度: 有理数も無理数も、実数直線上に稠密(ちゅうみつ)に分布しています。任意の2つの実数の間には、無限に多くの有理数と無理数が存在します。
  3. 個数: 有理数は可算無限個ですが、無理数は非可算無限個です。つまり、無理数の方が「はるかに多い」です。
  4. 演算:
    • 有理数 + 有理数 = 有理数
    • 有理数 × 有理数 = 有理数
    • 有理数 + 無理数 = 無理数(有理数 ≠ 0 の場合)
    • 有理数 × 無理数 = 無理数(有理数 ≠ 0 の場合)

有理数と無理数の演算例

有理数同士の演算:
• 1/2 + 1/3 = 5/6(有理数)
• 2/3 × 3/4 = 1/2(有理数)

有理数と無理数の演算:
• 1 + √2 = 1 + √2(無理数)
• 3 × π = 3π(無理数)
• 0 + √2 = √2(無理数、0 は有理数だが結果は無理数)
• 0 × √2 = 0(有理数、0 を掛けると有理数になる)

無理数同士の演算:
• √2 + √3(一般には無理数だが、証明が必要)
• √2 × √3 = √6(無理数)
• √2 + (-√2) = 0(有理数、相殺される場合がある)
注意: 無理数同士の和や積が必ずしも無理数になるとは限りません。例えば、√2 + (-√2) = 0 は有理数です。また、√2 × √2 = 2 も有理数です。

集合の記号:∪(和集合)

∪ 記号の読み方と意味

和集合(union)を表す記号です。

読み方: 「ユニオン」または「和集合」
英語: union(ユニオン)
意味: 2つの集合の要素をすべて合わせた集合

∪ 記号の使い方

集合 A と集合 B の和集合を A ∪ B と表します:

A ∪ B = { x | x ∈ A または x ∈ B }

つまり、A の要素または B の要素(または両方)であるすべての要素の集合です。

具体例

例1:基本的な和集合
A = {1, 2, 3}、B = {3, 4, 5} とすると、
A ∪ B = {1, 2, 3, 4, 5}
(両方に含まれる 3 は1回だけ書きます)

例2:実数 = 有理数 ∪ 無理数
{ 実数 } = { 有理数 } ∪ { 無理数 }
これは「実数は、有理数または無理数のどちらか(または両方)である」ことを意味します。
実際には、有理数と無理数は互いに排他的なので、実数は有理数か無理数のどちらか一方です。

例3:整数と分数
{ 有理数 } = { 整数 } ∪ { 分数 }
有理数は、整数または分数(または両方)です。
実際には、整数は分数の形(例:3 = 3/1)でも表せるので、整数も分数の一種と考えることができます。

関連する集合の記号

記号 読み方 意味
ユニオン、和集合 2つの集合の要素をすべて合わせる A ∪ B
インターセクション、共通部分 2つの集合の共通の要素 A ∩ B
属する、要素である 要素が集合に含まれる 3 ∈ {1, 2, 3}
部分集合 集合が別の集合に含まれる {1, 2} ⊂ {1, 2, 3}
空集合 要素が1つもない集合 ∅ = {}

∪ と ∩ の違い

例:A = {1, 2, 3}、B = {3, 4, 5} のとき

和集合(∪):
A ∪ B = {1, 2, 3, 4, 5}
「A または B の要素」をすべて集める

共通部分(∩):
A ∩ B = {3}
「A と B の両方に含まれる要素」だけを集める

視覚的な理解:
A ∪ B:A と B を合わせた全体
A ∩ B:A と B が重なっている部分

和集合の詳しい説明

和集合(union)について、より詳しく説明します。

和集合の定義(再確認):
集合 A と集合 B の和集合 A ∪ B は、
A の要素または B の要素(または両方)であるすべての要素の集合です。

数学的な表現:
A ∪ B = { x | x ∈ A または x ∈ B }
ここで、「または」は論理和(OR)を意味します。
つまり、x が A に属するか、B に属するか、または両方に属する場合、x は A ∪ B に属します。

重要な性質:
1. 重複は1回だけ:A と B の両方に含まれる要素は、A ∪ B に1回だけ含まれます
2. 順序は関係ない:A ∪ B = B ∪ A(交換法則)
3. 結合的:(A ∪ B) ∪ C = A ∪ (B ∪ C)(結合法則)
4. 空集合との和集合:A ∪ ∅ = A
5. 自分自身との和集合:A ∪ A = A

ベン図による視覚化:
和集合 A ∪ B は、2つの円(A と B)を合わせた領域として表されます:
• A だけの部分
• B だけの部分
• A と B の重なっている部分(共通部分)
これらすべてを含む領域が A ∪ B です。

3つ以上の集合の和集合:
A ∪ B ∪ C = { x | x ∈ A または x ∈ B または x ∈ C }
例:A = {1, 2}、B = {2, 3}、C = {3, 4} のとき、
A ∪ B ∪ C = {1, 2, 3, 4}

実数と有理数・無理数の関係:
{ 実数 } = { 有理数 } ∪ { 無理数 }
これは、すべての実数が有理数か無理数のどちらか一方に分類されることを意味します。
有理数と無理数は互いに排他的(重なりがない)なので、
実数 = 有理数 ∪ 無理数 であり、かつ { 有理数 } ∩ { 無理数 } = ∅ です。

和集合の具体例(詳しい版)

例1:数値の集合
A = {1, 2, 3, 4}、B = {3, 4, 5, 6} のとき、
A ∪ B = {1, 2, 3, 4, 5, 6}
(3 と 4 は両方に含まれるが、1回だけ書く)

例2:数の種類
{ 整数 } = { 偶数 } ∪ { 奇数 }
すべての整数は、偶数か奇数のどちらか一方です。
また、{ 偶数 } ∩ { 奇数 } = ∅(空集合)なので、
偶数と奇数は互いに排他的です。

例3:実数の分類
{ 実数 } = { 有理数 } ∪ { 無理数 }
すべての実数は、有理数か無理数のどちらか一方です。
また、{ 有理数 } ∩ { 無理数 } = ∅ なので、
有理数と無理数は互いに排他的です。

例4:複数の集合
A = {1, 2}、B = {2, 3}、C = {3, 4} のとき、
A ∪ B ∪ C = {1, 2, 3, 4}
すべての要素を1回ずつ含みます。

和集合と共通部分の関係

和集合と共通部分には、以下の関係があります:

分配法則:
A ∪ (B ∩ C) = (A ∪ B) ∩ (A ∪ C)
A ∩ (B ∪ C) = (A ∩ B) ∪ (A ∩ C)

例:
A = {1, 2, 3}、B = {2, 3, 4}、C = {3, 4, 5} のとき、
B ∩ C = {3, 4}
A ∪ (B ∩ C) = {1, 2, 3, 4}
A ∪ B = {1, 2, 3, 4}
A ∪ C = {1, 2, 3, 4, 5}
(A ∪ B) ∩ (A ∪ C) = {1, 2, 3, 4}
したがって、A ∪ (B ∩ C) = (A ∪ B) ∩ (A ∪ C) ✓

ド・モルガンの法則:
(A ∪ B)' = A' ∩ B'(補集合の和集合は、補集合の共通部分)
(A ∩ B)' = A' ∪ B'(補集合の共通部分は、補集合の和集合)
実数と虚数

実数と虚数

実数と虚数

実数(real number)とは

実数とは、数直線上に点として表すことができる数のことです。有理数と無理数を合わせた集合が実数です。

実数 = { 有理数 } ∪ { 無理数 }

この式は「実数は、有理数と無理数の和集合である」ことを意味します。つまり、実数は有理数または無理数のどちらかです(∪ は「または」を意味します)。

実数は、正の数、負の数、0 を含み、数直線上のすべての点に対応します。

虚数(imaginary number)とは

虚数とは、実数でない複素数のことです。特に、実数 b(b ≠ 0)に対して、bi の形で表される数を純虚数(pure imaginary number)と呼びます。

虚数単位:i = √(-1)
純虚数:bi(b は実数、b ≠ 0)

ここで、i は虚数単位(imaginary unit)と呼ばれ、i² = -1 を満たします。

実数と虚数の主な違い

特徴 実数 虚数
定義 数直線上に点として表せる数 実数でない複素数(bi の形、b ≠ 0)
構成 有理数 + 無理数 実数 × i(i = √(-1))
数直線 数直線上に表せる 数直線上に表せない
3, -5, 1/2, √2, π, 0 i, 2i, -3i, (1/2)i
2乗の性質 実数の2乗は 0 以上 純虚数の2乗は負の実数

実数の例

  • 有理数: 3, -5, 1/2, 0.75, 0.333...
  • 無理数: √2, √3, π, e, log₂(3)
  • 0: 実数であり、有理数でもあります

虚数の例

  • 純虚数: i, 2i, -3i, (1/2)i, πi
  • 虚数単位: i = √(-1)
  • 注意: 0i = 0 は実数なので、虚数ではありません

複素数(complex number)とは

複素数とは、実数と虚数を組み合わせた数です。

複素数 = a + bi
(a, b は実数、i = √(-1))

ここで、a を実部(real part)、b を虚部(imaginary part)と呼びます。

複素数の分類:
実数: b = 0 のとき(例:3 + 0i = 3)
純虚数: a = 0 かつ b ≠ 0 のとき(例:0 + 2i = 2i)
一般の複素数: a ≠ 0 かつ b ≠ 0 のとき(例:3 + 2i)

数の体系:
複素数 ⊃ 実数 ⊃ 有理数 ⊃ 整数 ⊃ 自然数
複素数 ⊃ 実数 ⊃ 無理数
複素数 ⊃ 虚数

複素数の例

実数(複素数の一部):
• 3 = 3 + 0i(実部 3、虚部 0)
• -5 = -5 + 0i(実部 -5、虚部 0)
• √2 = √2 + 0i(実部 √2、虚部 0)

純虚数(複素数の一部):
• i = 0 + 1i(実部 0、虚部 1)
• 2i = 0 + 2i(実部 0、虚部 2)
• -3i = 0 + (-3)i(実部 0、虚部 -3)

一般の複素数:
• 3 + 2i(実部 3、虚部 2)
• 1 - i(実部 1、虚部 -1)
• √2 + πi(実部 √2、虚部 π)

実数と虚数の関係

  1. 実数と虚数は互いに排他的:実数は虚数ではなく、虚数は実数ではありません(0 を除く)。
  2. 複素数として統合:実数と虚数は、複素数というより大きな集合に統合されます。
  3. 2乗の性質
    • 実数の2乗:常に 0 以上の実数(例:3² = 9、(-2)² = 4、0² = 0)
    • 純虚数の2乗:常に負の実数(例:(2i)² = 4i² = -4、(-3i)² = 9i² = -9)
  4. 数直線と複素平面
    • 実数:1次元の数直線上に表せる
    • 複素数:2次元の複素平面上に表せる(横軸:実部、縦軸:虚部)

実数と虚数の演算例

実数同士の演算:
• 3 + 5 = 8(実数)
• √2 × √3 = √6(実数)

虚数同士の演算:
• i + 2i = 3i(純虚数)
• i × i = i² = -1(実数!)
• 2i × 3i = 6i² = -6(実数!)

実数と虚数の演算:
• 3 + 2i(複素数、実部 3、虚部 2)
• 5 × i = 5i(純虚数)
• (3 + 2i) + (1 - i) = 4 + i(複素数)

重要な観察:
虚数同士の積が実数になることがあります(i × i = -1)。
無理数との関係: 無理数は実数の一部です。虚数は実数ではないので、無理数でもありません。つまり、無理数と虚数は全く異なる概念です。√2 は無理数(実数)ですが、√(-2) = √2 × i は虚数(実数ではない)です。
ユークリッドの証明:素数は無限に存在する

ユークリッドの証明:素数は無限に存在する

なぜユークリッドは素数が無限に存在することを証明できたのか

紀元前3世紀、古代ギリシャの数学者ユークリッドは、背理法(proof by contradiction)という論理的手法を用いて、素数が無限に多く存在することを証明しました。この証明は、数学史上最も美しく、最も影響力のある証明の一つとされています。

ユークリッドの証明の戦略

ユークリッドの証明の核心は、以下の論理的な戦略にあります:

  1. 仮定: 素数が有限個しか存在しないと仮定する
  2. 矛盾の導出: その仮定から矛盾を導き出す
  3. 結論: 仮定が間違っているため、素数は無限に存在する

この方法は背理法と呼ばれ、証明したい命題の否定を仮定して矛盾を導くことで、元の命題が正しいことを示す手法です。

ユークリッドの証明(詳細版)

ステップ1:仮定
素数が有限個しか存在しないと仮定します。
すべての素数を p₁, p₂, p₃, ..., pₙ とします(n は有限の数)。
ステップ2:新しい数を構成
すべての素数の積に 1 を加えた数を考えます:

N = p₁ × p₂ × p₃ × ... × pₙ + 1
ステップ3:N の性質を分析
N について、以下の2つの可能性があります:

ケースA: N が素数である
→ しかし、N は p₁, p₂, ..., pₙ のどれとも異なります(なぜなら、N はそれらすべてより大きいから)
→ これは「すべての素数を列挙した」という仮定に矛盾します!

ケースB: N が合成数である
→ N は何らかの素数で割り切れるはずです
→ しかし、N を p₁, p₂, ..., pₙ のいずれかで割ると、余りが 1 になります
→ なぜなら、N = (p₁ × p₂ × ... × pₙ) + 1 だからです
→ したがって、N は既知のどの素数でも割り切れません
→ これは、N を割り切る別の素数が存在することを意味します
→ しかし、その素数は p₁, p₂, ..., pₙ のどれとも異なります
→ これも仮定に矛盾します!
ステップ4:結論
どちらのケースでも矛盾が生じるため、最初の仮定「素数が有限個」は間違っています。
したがって、素数は無限に多く存在することが証明されました。

具体例で理解する

実際の数を使って、ユークリッドの証明の流れを確認してみましょう。

例:最初の3つの素数だけが存在すると仮定

仮定: 素数は 2, 3, 5 の3つだけ

新しい数: N = 2 × 3 × 5 + 1 = 30 + 1 = 31

31 を確認:
• 31 は 2 で割り切れない(余り 1)
• 31 は 3 で割り切れない(余り 1)
• 31 は 5 で割り切れない(余り 1)
• 31 は素数です!

結論: 31 という新しい素数が見つかりました。これは「素数が3つだけ」という仮定に矛盾します。
別の例:最初の5つの素数だけが存在すると仮定

仮定: 素数は 2, 3, 5, 7, 11 の5つだけ

新しい数: N = 2 × 3 × 5 × 7 × 11 + 1 = 2310 + 1 = 2311

2311 を確認:
• 2311 は既知のどの素数でも割り切れません(余りは常に 1)
• 2311 は素数です!

結論: 2311 という新しい素数が見つかりました。仮定に矛盾します。

なぜこの証明が画期的だったのか

  1. 背理法の美しい応用:直接的に無限を証明するのではなく、有限であると仮定して矛盾を導くという、エレガントな論理構造
  2. 構成的手法:既知の素数から新しい数を構成することで、必ず新しい素数が存在することを示した
  3. 普遍性:どのような有限個の素数を考えても、必ずそれより多くの素数が存在することを証明した
  4. 簡潔さ:非常に短く、理解しやすい証明でありながら、数学的に厳密
重要な注意点: ユークリッドの証明は「N が常に素数になる」ことを示しているわけではありません。N が素数でも合成数でも、どちらの場合でも新しい素数が存在することを示しているのです。実際、N = 2 × 3 × 5 × 7 × 11 × 13 + 1 = 30031 = 59 × 509 のように、合成数になる場合もありますが、その場合でも 59 や 509 という新しい素数が見つかります。

ユークリッドの証明を体験してみよう

最初の n 個の素数から、ユークリッドの方法で新しい数を構成してみます。

素数判定機

入力した数が素数かどうかを判定し、約数を表示します。

算術の基本定理(Fundamental Theorem of Arithmetic)

算術の基本定理(Fundamental Theorem of Arithmetic)

算術の基本定理とは

算術の基本定理は、数論における最も重要な定理の一つです。この定理は、任意の1より大きい正の整数が、素数の積として一意に表されることを主張します。

任意の正の整数 n > 1 は、素数の積として
一意に表すことができる

「一意に」という部分が重要で、素因数の順序を除いて、素因数分解の方法は唯一であることを意味します。

算術の基本定理の内容

定理の定式化

任意の正の整数 n > 1 に対して、以下のように表すことができます:

n = p₁α₁ × p₂α₂ × ... × pₖαₖ

ここで、

  • p₁, p₂, ..., pₖ は異なる素数
  • α₁, α₂, ..., αₖ は正の整数(指数)
  • この表現は、素数の順序を除いて一意である

具体例

例1:基本的な素因数分解

  • 12 = 2² × 3¹:2² × 3 または 3 × 2² と書いても同じ
  • 18 = 2¹ × 3²:2 × 3² または 3² × 2 と書いても同じ
  • 30 = 2¹ × 3¹ × 5¹:2 × 3 × 5 など、順序は変えられるが素因数は同じ
  • 100 = 2² × 5²:4 × 25 などとは書かない(素数で分解する)

例2:一意性の確認

例えば、60 を素因数分解すると:

60 = 2² × 3¹ × 5¹

これは以下のように書いても同じです:
• 60 = 2 × 2 × 3 × 5
• 60 = 3 × 2² × 5
• 60 = 5 × 3 × 2²

しかし、素因数の種類と指数は常に同じです:
• 素因数:2, 3, 5
• 指数:2, 1, 1

これが「一意性」の意味です。

例3:素数自身

素数 p の素因数分解は、p 自身のみです:

  • 7 = 7¹
  • 13 = 13¹
  • 29 = 29¹

なぜ「基本定理」なのか

算術の基本定理の重要性

  1. 数論の基礎:多くの数論の定理が、この定理に基づいています
  2. 最大公約数・最小公倍数の計算:素因数分解を使うと効率的に計算できます
  3. 約数の個数と和:素因数分解から約数の個数や和を求める公式が導かれます
  4. 互いに素の判定:2つの数の素因数分解を見れば、互いに素かどうかが分かります
  5. 数学的構造の理解:整数の構造を理解する上で不可欠です

算術の基本定理の証明のアイデア

証明の概要

算術の基本定理の証明は2つの部分からなります:

パート1:存在性
任意の正の整数 n > 1 は、素数の積として表すことができる。

証明のアイデア:
• n が素数なら、それ自身が素因数分解
• n が合成数なら、n = ab(1 < a, b < n)と分解できる
• a と b について再帰的に素因数分解を適用
• 最終的にすべて素数になる
パート2:一意性
素因数分解の方法は、素数の順序を除いて一意である。

証明のアイデア:
• ユークリッドの補題を利用:素数 p が ab を割り切るなら、p は a または b を割り切る
• 2つの異なる素因数分解があると仮定
• 両方に現れる素数を順次消去していく
• すべて消去できることを示し、一意性を証明

算術の基本定理の応用

応用例1:最大公約数の計算

素因数分解を使うと、最大公約数を簡単に求められます:

例:gcd(60, 84) を求める

60 = 2² × 3¹ × 5¹
84 = 2² × 3¹ × 7¹

共通する素因数の最小の指数を取る:
gcd(60, 84) = 2² × 3¹ = 4 × 3 = 12

応用例2:最小公倍数の計算

素因数分解から最小公倍数も求められます:

例:lcm(60, 84) を求める

60 = 2² × 3¹ × 5¹
84 = 2² × 3¹ × 7¹

すべての素因数の最大の指数を取る:
lcm(60, 84) = 2² × 3¹ × 5¹ × 7¹ = 4 × 3 × 5 × 7 = 420

応用例3:約数の個数

n = p₁α₁ × p₂α₂ × ... × pₖαₖ のとき、

約数の個数 = (α₁ + 1) × (α₂ + 1) × ... × (αₖ + 1)
例:60 の約数の個数

60 = 2² × 3¹ × 5¹
約数の個数 = (2 + 1) × (1 + 1) × (1 + 1) = 3 × 2 × 2 = 12 個

実際の約数:1, 2, 3, 4, 5, 6, 10, 12, 15, 20, 30, 60(12個)✓

素因数分解計算機

任意の正の整数を素因数分解し、算術の基本定理を確認できます。

フェルマーの小定理との関係: フェルマーの小定理はp が素数のときのみ成り立ちます。p が合成数の場合、この定理は一般には成り立ちません。算術の基本定理により、合成数は素数の積として一意に表されるため、素数についての性質を理解することが重要です。
定理の内容

定理の内容

p が素数で、a が p と互いに素な整数のとき

ap-1 ≡ 1 (mod p)
より一般的な形(p が素数のとき)

ap ≡ a (mod p)
注意: 2つ目の形では、a が p の倍数の場合も含まれます(その場合、両辺とも 0 (mod p) になります)。
最大公約数(GCD)とは

最大公約数(GCD)とは

最大公約数(Greatest Common Divisor, GCD)の定義

2つの整数 a と b の最大公約数とは、a と b の両方を割り切る最大の正の整数のことです。gcd(a, b) または (a, b) と表記されます。

gcd(a, b) = a と b の共通の約数の中で最大のもの

最大公約数は、2つの数の関係を理解する上で重要な概念です。

gcd 記号とは?

gcdGreatest Common Divisor(最大公約数)の略です。

読み方:
英語: 「ジー・シー・ディー」または「最大公約数」
日本語: 「最大公約数」
記号: gcd(a, b) または (a, b)

意味:
gcd(a, b) は「a と b の最大公約数」を表します。
例えば、gcd(12, 18) は「12 と 18 の最大公約数」を意味します。

使用例:
• gcd(12, 18) = 6
• gcd(15, 25) = 5
• gcd(7, 11) = 1(互いに素)
• gcd(8, 12) = 4

変数を使った表記:
• g = gcd(c, d) は「c と d の最大公約数を g とおく」という意味です
• これは、c と d の両方を割り切る最大の正の整数を g と表すことを意味します

他の表記法:
• gcd(a, b) と (a, b) は同じ意味です
• ただし、gcd(a, b) の方がより明確で一般的です
• (a, b) は順序対(座標)と混同される可能性があるため、gcd(a, b) の方が推奨されます

最大公約数の求め方

方法1:素因数分解による方法

両方の数を素因数分解し、共通する素因数の最小の指数を取ります。

例:gcd(48, 60) を求める

素因数分解:
48 = 2⁴ × 3¹
60 = 2² × 3¹ × 5¹

共通する素因数: 2 と 3
最小の指数: 2² と 3¹
結果: gcd(48, 60) = 2² × 3¹ = 4 × 3 = 12

方法2:ユークリッドの互除法(Euclidean Algorithm)

より効率的な方法で、大きな数でも高速に計算できます。

gcd(a, b) = gcd(b, a mod b)
(a mod b は a を b で割った余り)

アルゴリズム:

  1. a を b で割り、余り r を求める
  2. a = b, b = r として、b が 0 になるまで繰り返す
  3. b が 0 になったときの a が最大公約数

例:gcd(48, 60) をユークリッドの互除法で求める

ステップ1: gcd(60, 48)
60 ÷ 48 = 1 余り 12

ステップ2: gcd(48, 12)
48 ÷ 12 = 4 余り 0

ステップ3: gcd(12, 0) = 12

結果: gcd(48, 60) = 12 ✓

最大公約数の具体例

例1:簡単な例

  • gcd(12, 18):12 = 2²×3, 18 = 2×3² → gcd(12, 18) = 2×3 = 6
  • gcd(15, 25):15 = 3×5, 25 = 5² → gcd(15, 25) = 5
  • gcd(7, 11):どちらも素数で異なる → gcd(7, 11) = 1
  • gcd(8, 12):8 = 2³, 12 = 2²×3 → gcd(8, 12) = 2² = 4

例2:特殊な場合

  • gcd(a, 0) = |a|:0 との最大公約数は a の絶対値
  • gcd(a, a) = |a|:同じ数同士の最大公約数はその数の絶対値
  • gcd(1, b) = 1:1 との最大公約数は常に 1

最大公約数の性質

重要な性質

  1. 交換法則: gcd(a, b) = gcd(b, a)
  2. 結合法則: gcd(gcd(a, b), c) = gcd(a, gcd(b, c))
  3. 分配法則: gcd(ka, kb) = k × gcd(a, b)(k は正の整数)
  4. ベズーの等式: gcd(a, b) = ax + by を満たす整数 x, y が存在する
  5. 互いに素の判定: gcd(a, b) = 1 のとき、a と b は互いに素

最大公約数計算機(詳細版)

2つの整数の最大公約数を計算し、ユークリッドの互除法の過程も表示します。

フェルマーの小定理との関係: フェルマーの小定理では「a と p が互いに素」という条件が重要ですが、これは gcd(a, p) = 1 を意味します。最大公約数を理解することで、この条件の意味がより明確になります。
互いに素な整数とは

互いに素な整数とは

互いに素(coprime / relatively prime)の定義

2つの整数 a と b が互いに素であるとは、a と b の最大公約数(GCD: Greatest Common Divisor)が 1 であることを意味します。

gcd(a, b) = 1

つまり、a と b には 1 以外の共通の約数が存在しないということです。

互いに素な整数の例

例1:互いに素な場合

  • 8 と 15:8 = 2³、15 = 3×5 → gcd(8, 15) = 1 ✓
  • 12 と 25:12 = 2²×3、25 = 5² → gcd(12, 25) = 1 ✓
  • 7 と 11:どちらも素数で異なる → gcd(7, 11) = 1 ✓
  • 9 と 16:9 = 3²、16 = 2⁴ → gcd(9, 16) = 1 ✓

例2:互いに素でない場合

  • 8 と 12:8 = 2³、12 = 2²×3 → gcd(8, 12) = 4 ✗
  • 15 と 20:15 = 3×5、20 = 2²×5 → gcd(15, 20) = 5 ✗
  • 6 と 9:6 = 2×3、9 = 3² → gcd(6, 9) = 3 ✗

フェルマーの小定理との関係

フェルマーの小定理の最初の形:

ap-1 ≡ 1 (mod p)

この形が成り立つためには、a と p が互いに素である必要があります

理由:

  • p が素数の場合、p と互いに素でない整数は p の倍数のみです
  • a が p の倍数の場合、a ≡ 0 (mod p) なので、ap-1 ≡ 0 (mod p) となり、1 にはなりません
  • したがって、ap-1 ≡ 1 (mod p) が成り立つには、a と p が互いに素(つまり gcd(a, p) = 1)である必要があります

最大公約数(GCD)計算機

2つの整数の最大公約数を計算して、互いに素かどうかを確認できます。

具体例

具体例

例1:p = 5(素数)、a = 2

計算: 25-1 = 24 = 16
mod 5: 16 ÷ 5 = 3 余り 1
結果: 16 ≡ 1 (mod 5) ✓

例2:p = 7(素数)、a = 3

計算: 37-1 = 36 = 729
mod 7: 729 ÷ 7 = 104 余り 1
結果: 729 ≡ 1 (mod 7) ✓

例3:p = 11(素数)、a = 4

計算: 411-1 = 410 = 1,048,576
mod 11: 1,048,576 ÷ 11 = 95,325 余り 1
結果: 1,048,576 ≡ 1 (mod 11) ✓
インタラクティブ計算機

インタラクティブ計算機

自分で計算してみよう!

素数 p と整数 a を入力して、フェルマーの小定理を確認できます。

証明の概要

証明の概要

証明のアイデア

フェルマーの小定理の証明には、いくつかの方法があります:

  1. 数学的帰納法による証明
  2. 群論による証明:剰余類の乗法群の位数を利用
  3. 二項定理による証明

群論による証明の概要

p を素数とし、a を p と互いに素な整数とします。

  • 集合 {1, 2, 3, ..., p-1} は mod p での乗法群を形成します
  • この群の位数は p-1 です
  • ラグランジュの定理により、群の任意の元 a について ap-1 = 1 が成り立ちます
  • mod p で考えると、ap-1 ≡ 1 (mod p) となります
応用例

応用例

1. 素数の判定(確率的)

フェルマーの小定理の逆(必ずしも真ではない)を利用して、確率的な素数判定ができます。

2. モジュラ逆元の計算

ap-1 ≡ 1 (mod p) より、ap-2 が a の mod p での逆元になります。

3. 暗号学への応用

RSA暗号などの公開鍵暗号システムで重要な役割を果たします。

重要な注意点

重要な注意点

  • フェルマーの小定理はp が素数のときのみ成り立ちます
  • a と p が互いに素でない場合、最初の形(ap-1 ≡ 1)は成り立ちません
  • 逆は必ずしも真ではありません(カーマイケル数が反例)